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 割烹着姿の美人研究者が新聞の一面を飾った頃、偶然にも(あ)はルーシーの「夢の若返り」について調べていた。
 海外の獣医さんによると、犬の病気の実に90%近くが、老化に伴う変性プロセスによるものだとか。つまり、老化が抑えられたら、病気になる犬は激減することになる従来指摘されている栄養・運動・定期的な獣医の診察に加え、病気の予防、病気の早期発見、速やかな治療の着手が健康維持のベースだと言う。
 この獣医さんによれば、個々の犬によって差異はあるものの、老化は成犬になった時点で始まるという→シニアになってからじゃないのね・・・(寂)。また、単に肉体的な衰えだけでなく、変性プロセスは犬の精神面でも起こるそうだ。
 犬の長寿は、30%が遺伝的なもの、70%がライフスタイルによるらしい。ギネス認定のご長寿犬は、以前27才のボーダーコリーだったが、その後、記録が塗り替えられ、29才にまで伸びている。ちなみに、このボーダーコリーは手作り食を食べていたらしい。 
 アメリカでは、犬と人間ではDNAの類似点が多い点に着目して、効果や改善が見込める治療方法を、人間への応用を視野に入れて積極的に動物に適用している。中には、移植が可能な生体神経細胞を作成して、麻痺に苦しむラブラドールに応用したりと、驚くほど先進的なプロジェクトもある。日本にも、再生医療を積極的に採り入れる獣医さんがおられたが、残念ながら早世されたそうだ。この方に続く獣医さんが現れ、リスクを恐れず、従来の動物医療のワクを超えた治験を積極的に提供して欲しいと思う。

 ・・・と書けば、病院に通って先進的な治療をどんどん採り入れて、自宅では手作り食を食べて、それなりに運動していれば、ハッピーに長生きできそうに聞こえるよね。
 「でも、そうなのかなぁ?」と迷うことも増えてきた。特に知り合いワンの訃報を聞くと。
 一般的に「犬は、体が不自由になっても自分を可哀想だと思わない」「不自由になって自殺するのは人間だけだ」と言う。だけど余命を少々延ばすために、生活の質を格段に落としてしまうのは、どうなんだろう?
 それに、たまに「お母さんには内緒だよ」と人間用の食べ物を分け合ったり、肉球の皮が剥けちゃうまで思いっきり走り回ってガハガハ笑ったり。獣医さんが見たら眉をひそめそうな楽しみこそ、犬と飼い主にとって「死んでも忘れない楽しい時間」になるような気もする。
 「感傷に流されて犬の生命を縮めて良いのか?」と批判されるかもしれない。そのとおりだと思う。
 だけど、老化が始まったルーシーを見て「死んでも忘れない楽しい時間」が今後どれだけあるだろうか?と思う。もっと笑顔の時間を増やしたい。(あ)の独断的意見だけど、ルーシーの場合、少なくとも行き先は病院ではなさそうだ。


↑コイツら絶対やってる(爆)