モテない理由

 先週、河川敷でボーちゃんたちと遊んだ際、(あ)は考え込んでしまった。ルーシーが全くモテないのである。確かに、ルーシーは初めての発情が来る前に避妊手術をしたし、子犬顔だし頭の中身もガキなのだが、あれだけ男の子が集まっていたのに、誰に似たのか全くモテないのである。
 ルーシーよりも若いレイ君は、ナツちゃんに一目惚れ。大好きなフリスビーやボール、飼い主さんの声にも反応が薄く、ナイトのようにナツちゃんをエスコートしていた。緑君は、オレオ君が大好きで時折後ろからマウンティングをしていた。去勢済みの男の子が絡む光景は(あ)にとって、かなりのオドロキだった。と同時に「ルーシーやウィンディちゃんがいるのに、なんで緑君、女の子に行かないのよ〜。失礼だぞ。」と思っていた。緑ママさんによると、去勢した男の子と避妊した女の子では、男の子の方が魅力的なニオイを発するらしい。  親の心子知らずのルーシーはハーディングに夢中で、野原の真ん中に伏せて、フリスビーを追いかけるウィンディちゃんやオレオ君の一挙手一投足を見つめ、時折ハラスメントをしていた。まんまガキである。
 で、今週。久しぶりのjj君は、顔も態度も男の子になっていたのだが、しきりにルーシーに「遊ぼう」と誘ってくれる。「仲良くしよう」とゆっくりアプローチをされ、ルーシーもまんざらではなさそうだった。カフェにいる間は二匹ともリラックスしてフロアに横になっていた。しかし外に出たら、ルーシーはjj君と遊ぶ気がない様子(もしくは、気がないフリをしていたのか?)。フリスビーで大車輪をしている途中、「ボクも混ぜて」とjj君がフリスビーに顔を寄せてきたので、二匹で引っ張り合いをさせてやろうと思ったら、ルーシーはパッとフリスビーを離してしまった。近づかれて嫌という訳ではないが、力比べでは負けたくない。負ける勝負はしたくない。だから完全無視を決め込んでいたようなのだ。
 そこへ体重40キロのアフガンハウンド、ボン君が自転車引きで登場。(あ)もルーシーも今までこれほど体高が高く、足の長いワンちゃんを見たことがない。最大でバーニーズのラビ君か、最高でタービュレンのドル君くらいなものだ。姿を見た途端、ルーシーは「ウ〜」。短足な自分と同じ犬だとは思えなかったらしい。
 ボン君の方はいたって友好的で「遊ぼうよ〜」と来てくれるのだが、ルーシーはキャン鳴きをした後で歯を剥き威嚇するという態度。「アンタ怖いんだから、あっち行ってよ〜!」てな感じか?
 ところがしばらくすると、今度は自分からわざわざボン君の友達の群れに入り(目的はあくまでワンちゃんではなく、彼らの飼い主さんに甘えること)、そこでボン君が近づいてくると「キャン鳴き威嚇」をするようになった。明らかにボン君に対するイジワル。性格悪っ!
 この日のルーシーの態度を見て、ルーシーがモテない理由がなんとなく分かってきた。相手が男の子でも力では負けたくなくて、頭の中身がガキで性格が悪い。
・・・最悪やんけ!! 
 モテモテでも大変だろうけど、全くモテないのも困ったもんだ。