ふがいないですが

 この2週間、教室のことを書いていなかったのは悩んで疲れ切っていたから。授業内容が、マテ・遠隔・ベーシック・ダンスの練習になって約2ヶ月。マテ練習の妨害はどんどん厳しくなる一方で、ルーシーの様子が変わってきた。良い方にではなく悪い方である。
 本来得意だったはずのマテ。それまではリードなしでマットに伏せた後、耳をピンと伸ばし、(あ)が去っていった方向を見つめていた。ところが先週の授業では、なかなかマットに伏せようとしない。リードを着用させ、ようやく伏せさせたら、耳を倒して目をショボショボ。明らかに怖いという表情。「マテの間は褒めない」と指示されているので、こちらの声は指示だけ。ルーシーは、先生が近づいただけで逃げ出そうとする。首根っこを捕まえてマットへ。
 なんとか残り時間のマテをクリアして、同じマットを使って遠隔練習。ところが、「マット」と指示されても、以前のように一直線にマットに向かわず途中でこちらを振り返ったり、他の場所へ行って伏せてしまったり。「マット=マテ=怖いこと・嫌なこと」とインプットされてしまったか。ダンスもコマンドに対する反応が鈍い。どんどん鈍くなっている。
 本当に効果があるんだろうか?土曜日の授業前に先生と話す。
 ルーシーは、マテがすっかり苦手になり、マテの声がかかると怖いと訴えるようになってしまった。家やスーパーの前、公園でマテができるのに、教室でできないのはなぜか?マテの苦手意識が他の練習にも影響し始めている気がする。マテ練習は、どうしても、やらなきゃいけないのだろうか?どうしても必要な事だったらやるけれど、順番を変えて欲しいというリクエストはこれまでに却下されている。こちらは、ダンスに向けて動機を上げなければいけないのだから、ダンス前に敢えて動機が下がることはしたくない。このままではダンスまでダメになってしまうかもしれない。大した芸のないルーシーのダンスで唯一良いところがあるとすれば「楽しそうに踊る」ことだけだからだ。マテ練習が必須なら、競技会だけでなく今後の授業も止めざるを得ない。ただ、ルーシーの状態は(あ)の個人的な見方でしかなく、本当にマテが原因かと言われると全く自信がない。先生がルーシーのために考えてアドバイスをしてくれていることは、ありがたいし、期待に添えないのは悲しい。申し訳ないが、今回だけでもマテ練習をなしにしてもらえないか――。
 先生は快く了解して下さった。「そんなに長い間、悩んでいたなら、電話してくれたら良かったのに」と優しい言葉もかけて下さった。で、ひとこと。
 「私はルーシーが単にワガママを言っている気がしますけどね。それに、マテがイヤなのはIさん(私のこと)じゃないですか?」
 はい!ルーシーの事はともかく、マテがイヤなのは私です(爆)!
 だって、怖いんだもの。これまで苦労してできるようになったことが、全部壊れていきそうで。不安で不安でしょうがないんだもの。こんな精神状態で競技会のステージに立つなんて、とてもじゃないけど考えられないんだもの。
 先生が仰ることは重々承知している。この問題を乗り越えたら、ルーシーとの関係がさらに上のステージに行けると。しかし、目の前にぶらさがっているのは競技会。どうしたら良いんだろう?
 (あ)はルーシーとできるだけ長くダンスを続けて、ルーシーが高齢になっても動ける体を維持したいと考えている。だから「ダンスを続けること」が目的であり目標なのだ。
 申込期限を迎えていたので、とりあえずエントリーだけ済ます。その後、できるだけの努力をする。どうしても不安でダメならキャンセルしたら良い。
 まずは、できるだけの努力をすること。今は自分にそう言いきかせている。