シープ体験〜その血に目はあるか〜

 ルーシーのいとこであるぽん太ご一家からシープ体験のお誘いを受けた。一度はワーキングドッグを直に見てみたいと思っていたので、急遽予定を変更。みわファームさんへ。
 まずは、(あ)と(た)をフィールド内に入れていただき、オーナーのhiroさんからシープの大まかな要領を教えて頂く。ファームの羊さん達は、犬と同じくらいトレーニングを受けているので、見知らぬ怪しい我らがペンの中に入ってもおとなしい。人間と犬がいたら、自然に人間側に頭を向けるように訓練を受けている。
 次に、ルーシーをフィールド内に入れてみるも反応薄っ!しきりと地面のニオイを嗅ぎ回りフラフラ〜と歩き回る。ペンの側で呼んでも、チラリとこちらを一瞥して「私は通りがかりのタヌキです〜。おかまいなく〜。」とフラフラ。全くラチがあかないのでリード付きで(た)と一緒に犬役、(あ)が人間役を務めて、ペンの回りと内部で疑似ハーディング各1回。ルーシーは(た)と一緒に動くものの、全く羊の方を見ようとしない。ペンの中にムリヤリ入れても同じ。
 全く要領を得ない2人と1匹を見かねてhiroさんが「羊さんが動くんだと思ったら、(ルーシーも)面白くなって追いかけるかも」と、羊をペンから出し、今度は自らルーシーのリードを取って牧羊犬の役を引き受けてもらった。
 シープドッグは、人間の動き、羊の動きを見ながら、羊をまとめて求められた方向に進ませる。群がバラけたり、別の方向に行かないように、振り子のように動きながら羊を背後から追う。人間に比べると、かなりの運動量だ。Hiroさん自身、息が上がるほど動いていただいたのに
 「ルーシーは楽しそうに動いていたけど、一度も羊を見なかったね」・・・やっぱり(爆)。
 「ルーシーは羊を怖がっていないけれどね。」じゃあ、なんで見ないんだろ?

 普段、遊び仲間と遊ぶ時、ルーシーはハーディングらしき行動をとる。お友達の背後に忍び寄り、お友達がディスクを追いかけると一緒に動いて走り回る。あれはハーディングじゃないの?
 「ハーディングというのは、人間と一緒にやるものなの」とhiroさん。
 あ・・・じゃ、やっぱり疑似体験か(爆)。
 十把一からげにボーダーコリーと言っても、ワーキングドッグには独自の血統がある。その血統を強く譲り受けた個体は、成犬であろうが子犬であろうが、羊を目にした瞬間に態度が変わる。頭を下げて目を鋭くして、姿勢はあくまで低く、音を立てずに忍び寄る。そして一定の距離を保って伏せて相手の出方を見る。誰が教えたでもないけれど、それが自然にできるらしい。
 ボーダーコリーを繁殖する上で、大まかにショードッグの血統とワーキングドッグの血統が作られ、羊がいない環境のボーダーコリーには、ワーキングドッグに必要な部分がそぎ落とされていった。だから、ルーシーが(よしんば)ボーダーコリーと言っても、ワーキングドッグとして必要な部分が欠落していれば、牧羊犬の仕事をさせるのはムリ。欠落している部分が少なければ訓練で補うこともできるけれど、いかんせん、欠落の程度による。そして、それは実際に羊を追わせてみないと分からないとか。またシープドッグに一番重要なのは、羊の動きを封じる目なのだそうだ。
 ルーシー以外には、ぽん太君&ビル君a.k.a.びる太君、かい君、デプレ君が何度目かのシープ練習をしていた。彼らは普段羊のいない環境で生活している。
 一匹一匹、羊への態度が違う。「突撃〜!」とばかりに羊の中に飛び込んでいく猛者アリ、せっかく一度は羊をまとめておきながら蹴散らして、中の一匹にタイマン勝負を申し込む者アリ、ウヒョウヒョと体を上下させながら不審な動きをする者アリ、「ペンの中の羊どもにカマしたる〜!!と、やる気満々で吠えながら走り続ける者アリ(めっちゃ後で疲れたと思う。大丈夫か?)。
 2回目は(あ)とルーシーだけがペンの周囲を動くことに。ルーシーは、やはり徘徊&ニオイ嗅ぎばかりしているので、(あ)は考えた。牧羊犬には人間の動きを見ることも必要だから、今度はコマンドで動かしてみよう。動きから何かを学ぶかも。ラージサークルのコマンドを出してみる。ルーシーはペンの回りを右回りに動き出した。コマンドを出しながら、こちらも同じ方向に動く。そうすることで、ルーシーが「あ、私、羊を追い込んでる。初めてだけど懐かしい感じ」と、奥底に眠っていた本能の封印が解けてくれればと思ったワケ(爆)。
 ところが、ギッチョン(←すでに死語
 ルーシーは一応ペンの周囲を回っていたが、見ていた人達は「ルーシーちゃん、ダンスしてる」と笑っておられたそうな。
 ワーキングドッグが羊の周囲を回る場合、姿勢はあくまで低く、頭を下げて前傾姿勢で素早く走る。一方、ペンの周囲をラージサークルで走るルーシーは、尻尾をピンと立て、嬉しそうに大笑いしながら足を高く挙げて走っていたとか。ダメだ、こりゃ(苦笑)。
 ぽん太君のパパさんが一生懸命「犬は反省する生き物だから、しばらく期間をおいたら、ルーシーちゃんも次回は態度が変わるかも」と慰めて下さった。
 (あ)とルーシーがペンの中の羊を囲んだ時、羊さん達は一斉にルーシーに頭を向けた。ルーシーがワーキングドッグ血統の目でニラミを効かせたら、羊たちはお尻を向けるはずなのだ。つまり、羊さん達は、わずかな時間で(あ)よりルーシーの方が御しやすいと判断し、(あ)を牧羊犬だと思ったワケ。ルーシーの血にワーキングドッグの目を探すより、(あ)の方を探した方が良いかも(爆)。こんなに簡単に見切られるとは。トホホ。
 というワケでルーシーがワーキングドッグになるのはムリだろうけど、犬とのつきあい方について考える機会をいただけたのはありがたかった。飼い主が犬と一緒にしたいこと、犬にさせたいことはいろいろあるけれど、それをどう実現していくかは普段のつきあい方次第。できるところから少しずつ見直していきたいと思う。
 最後になりましたが、hiroさん&パパさん&お嬢さん、いろいろとお世話になりました。ありがとうございました!!