ありがとうございました!

 春の競技会が終わりました。もう競技は卒業だな。これで吹っ切れました。
 今回のルーティンは、かなり難易度を下げました。大技は元より皆無です。遠隔はルーシー・サークルと最後のぞうきんくらい。音楽のテンポも非常に遅いものを選びました。そうすることで、確実にルーティンを踊りきることを目指しました。
 1日の練習時間もかなり減らして、体への負担を減らすよう努めました。ルーシーが飽きないように、同じ構成を別の音楽で踊ったり、音楽をかけても構成を一部変えて踊ったりと、普通なら全く必要のない工夫(爆)もしました。ダンスを本格的に練習するのは3週間と期間を区切りました。本当のところを言えば、飽きが始まるまで2週間なのだけど、天候不順や負傷の可能性を考えて最短の3週間とした訳です。本番では、保冷剤や毛刈り等、考えうる限りの暑さ対策も、執りました。
 それでも、ルーシーには踊りきれませんでした。
 ダンスのアイディアが浮かばなかった原因は、ルーシーにできる動作が大幅に減ったことにあります。新しい技のアイディアが浮かんでも、結局、足のどこかに負担がかかるため、諦めざるを得ません。限られた可能な動作でテンションを上げるのであれば、どうしても同じような動作になってしまいます。なんだか過去に踊ったようなダンスになり、こちらのモチベーションが上がらず、そのうち考えようという意欲もしぼんで、なくなりました。
 ルーシーの前足は、右の肩関節の変形、左右の指の剥離骨折という問題を抱えています。これまでダマシダマシやってきましたが、もはや、それも難しくなりました。剥離骨折は発見当初、右の方が進行していたのですが、無意識に、そちらの足をかばっていたようで、最近、左の方も痛みが出るようになってしまいました。ちなみに、今日は雨だったので、ジョギングルート(3.8km)をのんびり歩いただけでしたが、帰宅後、痛みが出たのか左の前足をしきりに舐めていました。
 競技会の参加については、ここ数回、気乗りしませんでした。ダンスは、できるだけ続けようと思っていましたが、競技としては、そろそろ限界かなと感じていたからです。それを敢えて出ていたのは、自分がルーシーの限界を認めたくなかったのと、(た)にルーシーが元気に踊る姿を見せてやりたいと思っていたからです。
 去年、所属団体の競技会で最下位になった時、ルーシーのスタミナさえも限界に来たのを感じました。指示には正確に従えなくても、キレイに見せられなくても良い。最後まで動き続けるスタミナを養い、それだけを見せたかったのです。テンポが速い上に3分40秒とバカ長く、本番では踊りきれませんでした。
 あれほど夏に歩いてスタミナを養ったのに、本番でスタミナが切れてしまいました。そのことに猛烈に腹が立ち、短期間で別のルーティンを作って他のイベントで踊りました。ルーシーに「まだまだ、やればできるじゃん!」と喝を入れ、自信を持たせたかったからです。それでも確実にルーシーの限界は近づいていました。
 (た)は普段ルーシーのダンスを見るチャンスがありません。残りわずかかもしれないけれど、できるだけ晴れの舞台に立つ愛娘(?)の姿を見せてやりたいと思いました。
しかし、それはすべて飼い主側のワガママであって、ルーシーの体は悲鳴をあげていたのかもしれません。少なくとも、肉体的な制約を抱えていない、伸び盛りのワンちゃんと競える状態ではなくなりました。
 そして、そういうワンちゃんたちが成長していく一方で、自分の犬が衰えて、これまでできたことが、できなくなるのを見るのが、非常に辛くなりました。ルーシーみたいなジコチュー犬でも、こちらの努力や励ましに応えようとしてくれたと思います。それでも限界は厳然と存在し、ルーシーと自分の努力で乗り越えられるものではないと感じました。
 先生も「審査ナシのシニアクラスに参加すれば良い」と言ってくれましたが、少なくとも今は、そこまで気持ちを切り替えられません。
 と、今の心境を正直に(た)に伝えたところ「飯が不味くなるからやめろ」と言われました。結局、一番近いところにいる家族であっても、実際に苦労や腐心していない人間には、単なるグチにしか聞こえないのですね。週末にルーシーを甘やかして、ご機嫌をとるだけの人間に、毎日、辛い現実や問題に向き合って世話をする人間の気持ちや苦労など、所詮理解できるはずがないのです。父親が子供の教育を放棄して、責任を押し付けられた母親の気持ちが判るような気がしました。

 「それならば」と決意しました。
 競技は卒業します。
 (あ)の皮算用では、10才くらいまで競技をさせるつもりでした。だから、2年も早いけど。
 競技卒業の演技がお粗末で、笑顔で終われなかったのが心残りだけど。
 今後は楽しくのんびりと。

 これまで応援してくださった皆様に、心から御礼申し上げます。
 そして、ダンスを頑張っているワンちゃん&これからやってみようというワンちゃんたちが、いつまでも元気な笑顔でいられるように祈っています。