治療の目的

 夕方は動物病院。腎臓の問題の指摘を受けて、一ヶ月間、血圧の薬を服用。その効果を確認するため、薬がなくなる前に測定しようと。
 通常ペットの血圧を測定することは稀だ。主な理由は3つ。
 1)機械の問題。ペットの血圧を計る機械がなかった。
 2)病院に来ると、ペットが興奮して血圧が上がる。正確な数値が測れない。
 3)血圧測定より、別の検査の方が正確な数値が出て問題箇所の特定がし易い→ルーシーも尿検査や血液検査等をした上で必要と判断されたから血圧測定をしたまで
 だから「ウチの子はしたことないわ〜」等と無駄な心配をなさいませんように。
 先生曰く「本当に1日何回も測定する必要がある子には、飼い主さんに機械を貸し出します。家で使って慣れてもらっても、病院で測定すると20〜30は高くなります。」「これまで測定した子で、正確な数値が測れたのは、ウチでも病院にいるネコだけです。←この子はカウンターの裏にいることが多い
 ルーシーなんぞは、診察台の上から逃げようとするし、こちらが体を保定していても全身硬直状態(爆)。それに機械が進化したとはいえ、ちょっとでも動いたら測定できない。ちなみに「人間と違って下の値はハナからアテにしていません」とか。
 だから測定と言っても「大体のところを、ぼんやりと調べるくらい」と考えた方が良いかもね。
 で、今回も汗ダクで羽交い締めにして測定した結果↓
 上 212 下 119
 前回の上の値が230くらいだったのが、少し落ちた。先生曰く「病院に来たら血圧は20〜30ほど上がるので、実際は180くらいでしょう。」「(薬は)一定の効果があるみたいですね。」
 投薬は1日1回で夜ご飯と一緒に服用させていた。だから、夕方に測定したら、薬の効果が一番下がっているタイミング。通常、薬は服用後3〜4時間後が一番働くもので、同じレベルの効果が24時間続くことはない。「これを続けていけば良いと思います。」
 ここで疑問が3つ。
 1)血圧が下がったとはいえ正常値ではない。160まで下げる必要があるのではないか?同じ薬で良いのだろうか?
 2)薬を死ぬまで服用させる上で、薬の副作用などで、他の病気を誘発させる可能性はないのか?
 3)血圧を下げるのは、薬じゃなければダメなのか?サプリやハーブなどで対応できないか?
 先生曰く「確かに160まで下げた方が良いかもしれませんが、あまり急激に下げると、低血圧など別の問題が発生します。」「この薬での副作用の可能性は低いと思います。」「血圧を下げるサプリはないですね。」とのこと。
 ルーシーの体に負担をかけることなく、また副作用を引き起こすことなく、血圧を下げて一定の効果を確保する。先生は、そこを狙っているらしい。
「他の方法がない訳ではありません。ただ、これは全く違ったアプローチになります。」と先生。
 腎臓疾患に対応する療法食があるそうだ。原因の大元を叩く意味では、こちらの方が有効に見える。しかし、このフードは脂肪分が多いそうで「この子の今の状態を考えると、血圧のコントロールの方が良いと判断しました。」と丁寧に説明していただいた。
 その上で、
「『初期の初期』なので、飼い主さんにはピンと来ないかもしれませんが」と先生。
「私の考えでは、腎臓は生まれた直後から消耗を始めるのではないか、と。」
 成長期は、腎臓が消耗しても同時に成長しているから、その分を補える。また、一生の中で肝臓がダメージを受けても、自分で再生する可能性がある。一方、腎臓は再生することはない。従って、長生きをすればするほど消耗していく。だから大きな病気をしなくても、最後は腎不全というケースが多いらしい。
 ルーシーの場合は――今の状態ならば――血圧をある程度下げてキープできたら、薬を飲まない状態よりも、腎臓の消耗を少なくできる。最終的には腎不全になるにしても、その時期を遅らせられる。
 ルーシーの診断を受けた夜、腎不全で亡くなった義父のことを思い出していた。前夜まで元気で家族と笑っていたのに、翌日の午後には意識がなくなり、そのまま逝ってしまった。あまりに急な別れで(あ)ですら呆然としていた。「この病気は、感謝を伝える時間も許してくれないのだな」と思ったものだ。
 ルーシーの場合は、完治を目指した治療ではない。上手く、長くつきあうための治療だ。
 (あ)の頭上の雲は消えることはないが、とりあえず続けてみようと思っている。