療法食だからといって

 ルーシーはH社のアレルギー療法食『低ア○ルゲン』を食べている。アレルギーになった時点で、獣医さんから頂いた試供品を食べて、フードとの相性を観たところ、1つ目に食べた、この療法食で軟便がなくなった。以来、このフードを食べ続けている。
 昨年末、いつものようにネットで注文したところ、同じメーカー、同じアレルギー療法食なんだけど、『アレルゲン・フリ○』を間違って購入してしまった。品物が届いた時点でも気が付かず、数週間を経て、新しく袋を開けところ「ん?粒が小さい・・・」と気がついた。パッケージは『低アレルゲ○』とほぼ同じ。すでにクーリングオフ期間を過ぎていたし、低アレル○ンの備蓄は底をついていた。
 (あ)は「ア○ルゲン・フリーになんだから、アレルゲンがゼロってことだよな」と思ってしまった。つまり、普段口にしている低アレルゲンよりも、アレルギー症状が出る可能性がさらに低い。逆の場合なら症状が出ることもあろうが、フリー(全くない)なんだから、と。療法食は普通のドッグフードよりも、値段がかなり高い。「○レルゲン・フリーでも大丈夫だろう」と思い込み、ルーシーに食べさせて様子を見た。
 幸い便の状態は変化がなかった。ところが、しきりに足を舐めるようになった。足を舐めるのは、ヒマつぶしのこともあるし、運動のさせ方や量によって、指の剥離骨折した部分が痛むことも多い。原因が特定できなかった。とりあえず一時的にステロイドを服用させて炎症を抑える一方で、運動の内容を変えたり、量を減らしたりしてみた。しかし、服用が終わると、また舐める。ひどい時は一晩の間に指の間の毛がなくなり、皮膚が赤くなるまで舐めた。状況は改善しなかった。
 事情を話すと、獣医さんは「本当のところは、この子に訊かないと分からない」としながら「(アレルギー症状が)これまで胃腸だけに出ていたといって、皮膚に出ないということにはならないでしょう」と叱られた。温厚な先生にしては珍しく語気が強かった。
 アレルギーのある子は、療法食だとしても、相性の合うものを見つけるのが難しいのだという。運良く合うものを見つけられたのに、それを飼い主の思い込みで変えるのは間違いだと。仮に相性の良いフードを見つけられて食べ続けていても、途中から合わなくなることだってある。だから、相性が合う間は、そのフードを食べ続けるべきだと。(あ)が帰宅後、慌てて『低○レルゲン』を購入したのは言うまでもない。
 消費税UPを前に『低○レルゲン』をネットで注文しようとサイトを開いたら、今までなかった「アレルゲン・○リーとは内容成分が違いますからご注意下さい」と但し書きが付けられていた。同じミスをした購入者がいたようだ。パッケージも帯の色が区別されるようになった。
 さて、元の療法食に変えて、ルーシーはどうなったか。
 時々足を舐めるのは変わらない。しかし、皮膚が炎症を起こすほどのことはない。まぁ、こちらが気をつけて「ヤバイ」と思ったら早目に対処しているからかもしれないけど。それでも注意されても取り憑かれたように足を舐めることはなくなった。「やっぱ、あれはアレルギーだったのかなぁ」と、うっすら思い返している。
 残ったアレルゲン・フリーのフードは、保護犬に使ってもらおう。ルーシーには合わなかっただけで、これが合う子もいるはずだし。保護下にいる子達には、生命を明日につなぐ以上に、ケアを求めることは難しいだろうから。
 ちょっと、お高い授業料だったけど、良い勉強になったよ。