クルミちゃん来訪

 珍しく今日は来客があった。私にではなく、ルーシーに、である。ゴールデンとラブのミックスのクルミちゃんは、チャーミングな笑顔でいつも挨拶してくれる。ただし歓迎は「飛びつき、前足キック付き」なので、鳩尾に入るとなかなか効くけれど。
 すぐに庭でルーシーと取っ組み合いが始まる。クルミちゃんは「遊ぼう」ポーズを取り、ルーシーのボールをくわえて庭の中を走り回っていたが、そのうち腹這いになって、ルーシーをいなし始めた。大人なのでスタミナはあまりないということだが、力の差は歴然。飛びつくルーシーを首の一振りで、すってんころりんと転がす。転がされた方は、すぐに相手の体の上に乗ろうとするが、またいなされてしまう。取り組みが5分も続くと、日向の土の上から、日陰の玄関先へと移動。水を飲んで、また一戦。氷をガリガリ囓って小休止を入れながら、また一戦。クルミちゃんは、土を掘り返して、そこにお腹を付けて冷やしていた。大型犬にとって、長い時間、運動するのは大変なのだ。今日は、我が家なので、適当なところで水を飲み、氷を囓り、玄関先のタイルに腹這いになって、体を冷やしながら遊んでもらった。
 それでも体力の限界がきたようだ。ルーシーがしつこく頬のあたりを噛もうとすると、クルミちゃんは「ガウ」と一言吠えた。するとルーシーは、すぐに止めて、側に伏せた。しばらく上目遣いにクルミちゃんの様子を見ていた。そして、そろそろと近づいて、また相手の体の上に乗ろうとする。すると、クルミちゃんが腹這いになったまま、鼻面に皺を寄せ、歯を剥いた。今度は、ルーシーも「こりゃ、あかん」と思ったのだろう。体をブルブルと振って、水を飲みに行った。帰ってきたら、「ごめんなさい」のポーズをして、クルミちゃんの顔に自分の顔を寄せて、優しく舐めた。へー、遊びのルールを知っているとは、意外に賢いじゃん。それに引き下がるべき時には、冷静になれるのね。公園では「頼もう」とばかりに、他のワンちゃんに次々と取っ組み合いを仕掛け、私が「家に帰ろう」と言うと、足を踏ん張ってその場から動こうとしないルーシーだが、犬同士の遊びのルールは身に付けてきているようだ。感心、感心。