ルーシー、沼に入る3

 ルイちゃんのお父さんの「予言」が当たってしまった。ルーシーは2日連続で沼に入ってしまったのだ。
 夕方、公園から帰宅しようとしたところ、ルイちゃんに出会い、ボール遊びに参加させてもらうことにした。そのうち、ルーシーが取っ組み合いをしようと、しつこく誘い始め、優しいルイちゃんは少し相手をしてくれた。ここまでは良かったのだが、ルイちゃんも少々お疲れだったようだ。生け垣の向こうに隠れて、追いかけるルーシーをやり過ごそうとしたらしい。ルイちゃんの姿を見失ったルーシーは、ルイちゃんではなく、沼の魔力につかまって自分から入ってしまったという訳だ。
 「やってやりましたぜ」とばかりに、ニカニカ笑いながら(あ)に近づいてくる。全ての足に茶色いシミがついていた。それでもなおルイちゃんと遊ぼうとするので、問答無用で引き離し、すぐに噴水に連れて行った。ルーシーは嫌がって水に入ろうとしない。時間が経てば経つほど、汚れが取れにくいので、少々乱暴だが、首根っこと尻尾の付け根を握って、水の中に放り込んだ。
 全身シャンプーをしなければならないほど、汚れは、ひどくない。昨日は雑巾で拭けば取れてしまったし。けれど自分が沼に入ったから、ルイちゃんとの楽しい遊びは終わりになり、噴水に放り込まれ、大嫌いなシャンプーまでされたと、ルーシーが理解してくれれば、シャンプーだって手間ではない。次に沼に入ろうとしたとき、「待てよ、前に沼に入った時、その後でイヤなことがあったな」と思い出せたら、少しずつ沼の魔力から逃れられるのではないだろうか?
 ルーシーを噴水に放り込んだ時、背後でルイちゃんのお父さんが「引いて」おられた。(あ)の乱暴な態度に驚かれたのだろう。そして、帰宅後ルーシーにあたるのではないかと危惧されたのか、謝まられてしまった。
 とんでもない、沼に入るのはルーシー自身の問題だから、ルイちゃんやお父さんに謝っていただくことではないです。また、ルーシーが遊びに夢中になり。飼い主の指示が聞こえなかったり、無視してしまうのは、まだ子供だからしょうがないことと理解しています。この問題の場合は、マムシに咬まれたり、水を飲んで病気になる危険性がありますから、できるだけ早く止めさせなければと思っています。ですから、単に「指示どおりに動いたらササミがもらえる」という方式ではなく、「指示に従わなかったらイヤなことが起こる」という方式も使って、二本立てで対処しようと思っています。
 ルイちゃんこそ、良い迷惑ですよね。本当にごめんなさい。良ければ、また遊んでやってください。