ジェントル・リーダー(本当に) こわい

 散歩の用意をした(あ)がルーシーに近づくと、こちらが何も言わなくても、それまで寝ていたルーシーは伸びをして立ち上がる。そのくせ毎回ジェントル・リーダーから逃げ回り、このところはカラーまで嫌がるから不思議である。
 夕方、いつものとおりF公園に行くと、祝日とあって小さな子供がたくさん集まっていた。ルーシーに公園を走り回らせることは、とても無理なので、ジェントル・リーダーだけ外して歩かせることにした。
 ジェントル・リーダーを着用していると、ルーシーの場合は、リードを引っ張らなくなるのはもちろんのこと、拾い食いや、他のワンちゃんの残した臭いを嗅ぐ回数も減る。反面、外した途端にグイグイとリードを引っ張り出し、地面に落ちている木の枝を口にしたり、道路脇の植え込みにまで入り込んで、何やら臭いを嗅ごうとする。(あ)があわてて「リーブ」と指示を出しても、ルーシーは口にした物を急いで飲み込もうとし、苦労して飲み込んだ末に「私は何も食べてません。だからご褒美ちょうだい。」と、理屈に合わない要求をしてくる。そこまでして、木の枝を食べないといけないの?そんなに美味しいのかしら?
 あまりに何でも口にしようとするので、ジェントル・リーダーをポケットから出して、ルーシーに見せる。「言うことをきかないと、着けるよ」と言うと、「そんな殺生な」と、口から枝を地面に落として、恨めしそうに上目遣いでこちらを見た。なんだ、こちらの指示は聞こえているし、分かってんじゃん!