ルーシーの霧氷

 昨日まで「ネパール人もビックリ」の寒さだった(ネパールの人、ごめんなさい)。まだ家並みの北側を走る道路には、雪が固まり氷になったところが残っている。今日は幾分暖かいものの、朝は冷たい霧が立ちこめていた。吐く息の白さと霧との区別がつかない。
 ルーシーを連れてS公園に行く。いつもは並足程度の速度だが、地面が凍って滑るので、小股で歩く。ルーシーには、散歩中、後ろを歩く(あ)をたびたび振り返って見るように、教えている。何回か振り返って、こちらを見たら、フードを少し与えるようにしているのだ。ルーシーは飼い主を無視する傾向があるため、少しでも意識させて、飼い主から離れないようにするためだ。今日は頻繁にフードを与えて、ゆっくり歩いてもらった。
 本当は、飼い主より前に出ないで、常に後ろに付いて歩くことを教えたいのだが、ルーシーは、ジェントル・リーダーをしていても、グイグイと引っ張り、前に出ようとする。今のところは、散歩中に時折「ついて」とコマンドを出して、ルーシーを(あ)の左後ろに座らせ、フードをやるという程度である。
 陸橋を渡って、公園に入る頃、ルーシーの両耳の付け根あたりが白くなってきた。そして、(あ)を振り返るルーシーの顔を見ると、顎のあたりに見慣れない長くて白いヒゲが生えている。触ってみると冷たい。ヨダレが凍っていたようだ。ニカニカと笑ってみせるけれど、寒さで口の周りに皺が寄っている。その顔は、三番叟に使われる翁の能面みたいだった。
 公園でゴールデンのジョー君とハナちゃんに出会い、比べてみたが、凍っているのはルーシーだけのようだ。それとも毛色のせいで、凍っていても分からないだけなのだろうか?そのうち尻尾の付け根あたりも、白くなってきた。
 霧氷を見るのに、必ずしも山登りは必要ないようだ。