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 昨夜の夕食後、リビングでパッケージに入ったままの「ガリレオ・ボーン」を見た瞬間から、ルーシーは「それ、なあに?」「ちょうだい」と訴えてきた。
 ガリレオ・ボーンは、パッケージに書いてあった売り文句によれば、世界一固い犬のオモチャで、おそらくプラスチック製。犬がこれを噛んで、表面にささくれができると、歯にあたって掃除をするというものだ。
 予想どおり、ガリレオ・ボーンを与えた直後から、ルーシーは夢中になった。ホットカーペットの上で、目を閉じて「あ〜、気持ち良い〜」とでも言いたそうな表情を浮かべて、カリカリと囓っている。
 (あ)は、「ルーシーは良い子だねぇ。」と言いながら、オモチャを囓るルーシーのお腹、背中、頭を撫でて、オモチャを取り上げる瞬間をはかっていた。オモチャは犬に与えっぱなしにしてはいけないと聞く。ガリレオ・ボーンのカケラは、米粒以下の大きさなら大丈夫だが、それよりも大きなカケラだと飲み込む場合には問題があるらしいから、なおさら飼い主の監視下で与えないといけない。
 ところが、ルーシーは「(あ)がオモチャを取り上げるのでは?」と警戒して、少しずつイライラを募らせていた。ルーシーは、もともと体を触られるのが好きではない。その上、オモチャに集中して囓りたいのに、体を触られて集中できない。始めは、耳を後ろに倒して(あ)の表情を窺うだけだったが、(あ)の手がお腹から背中、背中から首のあたりに移動してきた頃から、耳がだんだんと水平になり、鼻面に皺を寄せ始めた。
 (あ)は、オモチャはさることながら、ルーシーが体を触られるのを嫌がることが気になっていた。オモチャを与える間に体を触ることで、触られることが怖くないことを教えたかった。ところが思惑とは違って、ルーシーが怒りの表情を浮かべ始めたので、「これは今、取り上げたら逆効果だなぁ」と判断した。ルーシーが手を噛まない限りは、オモチャを与えたままにして、しばらく体を撫で続けようと考えていた。
 すると、そばで見ていた(た)が、オモチャに手を伸ばした。当然、ルーシーが怒って歯をカチカチ言わせた。(た)はルーシーを仰向きに抱きかかえ、マズルを固定して注意した。しばらくの間、ルーシーはそのまま抱きかかえられていたが、(た)がマズルから手を離すと、噛む仕草を見せた。オモチャを取られて、よほど腹が立ったのだろう。叱られても反省しないとは、困ったヤツだ。
 今までロープ製のオモチャなどで遊ぶ場合には、ルーシーは「アウト」とコマンドを出されると、おとなしく口から離していた。しかし噛むオモチャとなれば、食べ物と同列、またはそれ以上とみなしているらしく、非常に執着する。食べ物の場合は、たとえ取り上げられても、「また、くれるよね?」と信頼している。だから、噛むオモチャは、それ以上なのかもしれない。
 それにしても、この反抗的な性格は、どうしたものか?