低血圧?

 せっかく桜が咲いたのに長雨になりそうだ。低気圧は、さっさと行っちゃってくれないかしら?せめて桜の花を散らさないでと、祈るばかりである。
 雨が降ると(あ)は一気にやる気を失うが、やる気がなくなるのはルーシーも同じだ。日中、あまり動くこともなく、昼寝ばかりしている。昔、低血圧だと朝が苦手で、加えて低気圧が来ると、ますます苦手になると聞いたことがある。犬もそうなのかなぁ?晴れの日と、日中の過ごし方も全く違う。
 夕方まで雨が止むのを待っていたが、業をにやして(あ)が散歩の用意を始めても、ルーシーは昼寝の体勢のままで、ボーっとこちらを見ている。Tシャツとレインコートを着せる段になっても、「ん?」という感じ。晴れた日は、露骨な態度を示す。「Tシャツ着るの、イヤや〜」と(あ)の後ろに回り込み、自分の体を隠そうとする。
 散歩中も、ルーシーはおとなしかった。雨や他の音が気になって、怖いらしく、(あ)の横をおとなしく歩いている。晴れの日は、いろいろな物が気になって、真っ直ぐ歩いてくれない。今日は妙にお利口さんである。せいぜい褒めてやることにした。
 ところが、近くで雨戸を閉める音が聞こえたり、夕刊を取りに玄関に出てきた人や下校途中の小学生たちの姿を見ると、急にいつものルーシーに変わる。雨の中でも「私を可愛がって」と、グイグイとリードを引っ張る。聞こえた音の正体を見極めるまで、その場を立ち止まって動こうとしない。自分が相手にされないと分かると、「あ、そ」とあきらめて、再び動き出す。その間、こっちはズブ濡れで待ってるんですけど。
 散歩中は比較的におとなしかったので、(あ)はルーシーの足をまず玄関の外で洗ってやることにした。ところが、バケツの水に後ろ足を浸けたら、急に暴れ出した。胸のあたりを抱きかかえて前足を水に浸けようとすると、ルーシーは後ろ足を動員して抵抗し(あ)のホールドから逃れようとする。さっきまでおとなしかったくせに、どうしちゃったの?散歩中に(あ)は既に上半身が濡れていたけれど、おかげで靴やズボンも濡れちゃったよ。
 玄関を入ってタオルで拭く段になると、ルーシーは「お母さん、私はいつもよりも腹が立ってるんだからね!」と歯を剥いた。なんだよー、怒りたいのはこっちだぞ。暴れたおかげで、泥がお腹まではねて汚れちゃったじゃんか!
 雨が続くと、二人の関係も険悪になりそう。早く晴れてくれないかなぁ。