1才

(あ)より一言
 ルーシーは今日で一歳になる。待ちに待った最初の節目に、ようやく到達した。(あ)は、少し複雑な心境である。
 ルーシーを飼うことになった時点では、(あ)の頭の中で、「ボーダーコリー=賢い犬」というイメージが先行していたことは確かで、「手をかければ、なんとかなるだろう」という希望的観測で、ペットショップから購入してしまった。ルーシーは、そのペットショップで扱っていたボーダーコリーとしては、一匹だけだったので、他に比較の対象がなかった。振り返ると、これは重大なミスにつながりかねない暴挙だったと思う。
 これは、遺伝性の病気の問題だけではない(幸い、今のところ健康面で問題はないけれど)。個体の性格も比較する必要があったと思うからだ。ルーシーは本質的に臆病で、その裏返しで一見反抗的な態度をとる傾向にある。体を触られることを極端に嫌い、自分から甘えることも少ない。そのくせ、退屈しのぎに自分でハゲを作ってしまう。犬ってのは、もっと単純明快な生き物だと思っていたんだけどなぁ。アンタ、つくづく変な犬だなぁ。
 しかし、だ。 私たちはルーシーを選ぶ立場にあったけれど、ルーシーは飼い主を選べる立場にはなかった。だから、もし他の飼い主さんに飼われていたら、ルーシーは今よりも、もっと幸せだったかも。ルーシーから見れば、私たちは舌打ちしたくなるような「グズでノロマなカメ」かもしれない。
 ルーシーが指示に従わなかったり、反抗的な態度をとるたびに、(あ)はそのことを思い出し、怒りを抑えようと努めている。しかし、1才になっても犬の信用を得ていないんじゃないかな?そう考えると、情けなくなる。
 そんな時、他のワンちゃんの飼い主さんからいただくアドバイスは、とてもありがたい。涙が出そうになる時もある。
 ルーシー、アンタは飼い主に恵まれなかったかもしれないけど、周囲の方々や環境は恵まれているよ。お母さんも、もう少しだけ頑張ってみるから、アンタも健康で優しいワンコになってちょうだいね。