この時期、アメリカのボーダーコリーは忙しい。カナディアン・ギースが長い渡りの途中で、ゴルフ場、学校の敷地、サッカー場などに立ち寄るからだ。立ち寄ること自体には何ら問題はないが、糞の処理は別である。彼らの落とす糞は、その場所の美観を損なわせ、その場所に与えられた本来の役割を果たせなくさせるだけではない。糞が病気感染の原因となり、人間の健康に被害を与える可能性がある。
 過去には、対策として騒音を出す機械などが導入されてきた。中にはアントラキノンという化学物質を芝生にスプレーしたところもあったようだ。アントラキノンは消化不良を起こさせる。ただし、これも人間にとって全く害がないとはいえない。
 そこで、ボーダーコリーが一役買うことになったのである。ハーディングの本能を利用しようということだ。環境に全く影響を与えないし、飼い主は散歩の手間が省ける。犬もストレスを解消できてハッピーだ。地域によっては、警察がボーダーコリーを飼い、育成してカナディアン・ギースを追い払うところもあるという。
 ただし、追い払われた鳥は、どこか別の場所に移ることになる。そして別のボーダーコリーに追いかけられて、また別の場所に移る。イタチごっこである。という訳で、ある自治体では、カナディアン・ギースの卵を捕獲して殻に油を塗って殺し、一方で特定数の成鳥を捕らえて安楽死させているという。これはカナディアン・ギースが増えすぎないように、全体数をコントロールする目的で行われているそうだ。
ボーダーコリーに活躍の場が与えられていることは嬉しいけれど、どうも手放しに喜べない。カナディアン・ギースの「全体数」って、誰が、どうやって決められているのだろう?何を基準にしているの?
何にしろ人間が決めることだ。明日の天気予報だって当たらないことが多いのになぁ。(大体「兵庫県南部は雨ときどき曇り、山沿いは雷雨があるでしょう」って言われても、ウチは本当に南部なんだか、山沿いの地域なんだか分からんぞ!そいでもって、近畿の南部・中部・北部って別の区分するもんだから、ますます分からん!)10年後くらいに、カナディアン・ギースが絶滅なんてことにならなきゃ良いけど。