ペットの室内飼いとアレルギーの関係

 雨で閉じこめられているうちに、ネットで見つけた興味深い記事を紹介したいと思う。ペットに対するアレルギーは、生後1年までの間にペットに囲まれている方が発症する率が低くなるというのだ。
 従来は、アレルギーの原因に繰り返しさらされることで、アレルギー症状を呈するようになるという考え方を基に、子供にアレルギーを発症させないためには、アレルギーの原因のない環境、つまりペットのいない環境で育てるよう勧められていた。ところが最近になって、正反対の結論を導くような研究成果が発表されるようになった。
 生後1才までの間に、家の中で複数のペットに囲まれて育つ場合、人間の子供はアレルギー症状を起こしにくくなるそうだ。人間は生後1年の間に免疫システムがつくられる。その間に高レベルのエンドトキシンにさらされると、免疫システムは通常とは違ったパターンの反応をするようになり、アレルギー症状を起こしにくくなるという。ちなみにエンドトキシンは、犬や猫の口の中によく見られ、バクテリアが分解されたものだそうだ。
 ある研究成果によれば、一般的なアレルギー症状を起こす確率は、生後1年まで家の中で複数のペットに囲まれて育った子供の場合、そうでない子供に比べて、半分程度だそうだ。また、一般的なアレルゲンに対するアレルギー抗体を持つ率も、66〜77パーセントまで減るらしい。また、発症しにくくなるのはペットだけでなく、ダニなどの一般的なアレルゲンについても同じだという。
 また、この研究成果によれば、
 発症率      家にペットがいない場合   家に犬か猫が一匹いる場合   家に複数のペットがいる場合
 ネコ・アレルギー 15.5% 11.6% 7.7%
 犬アレルギー   8.6% 3.5% 2.6%
 アトピー*     33.6% 34.3% 15.4%
*(犬、猫、草などの複数の一般的なアレルゲンに対して陽性反応を示した子供)
 残念ながら、この研究の唯一の例外はアトピーである。家の中にネコか犬が一匹だけいる場合には、発症率は少しだけ上がってしまう。しかし、複数になると半分近くにまで減るから不思議だ。
 この記事は、現在アレルギーや喘息に悩む子供が多いのは、もしかしたら我々があまりにも清潔な環境で生活しているからではないかと示唆している。犬や猫と遊ぶ間に舐められて、バクテリアがペットから人間に移る。しかし、それによって子供の免疫システムが、アレルギー症状を呈するのではなく、アレルギーから体を守るかたちで形成されるのではないか。この研究は、ペットを利用したアレルギー予防の域にまで踏み込んではいなけれど、ペットのいる家庭に新生児を迎える上で、あまり神経質になる必要はないことを示している。