昨日から雨に閉じこめられて、ルーシーは完全に運動不足。目もウツロで(あ)がボールを転がしてもやる気がない。ロープの引っ張り合いも飽きてしまったようだ。運動不足でNo.2もなかなか出ない。こうなると、我が家では恒例の「実験」である。
 用意する物は、懐中電灯一本。本当はレーザーポインターが扱い易いのだが、そんな洒落た物は我が家にはない。とりあえず廊下を片づけて、少しでも走れるスペースをつくる。
 まず、ルーシーに懐中電灯を見せる。新しいオモチャだと思って、笑いながら尻尾を振るルーシー。違うってば。顔の近くでスイッチを入れる。ちょっと警戒して後ずさり。ね?オモチャじゃないでしょ?
 ルーシーの目の前で、懐中電灯をつけたり消したりして見せて「光はここから来ているのだよ」と知らせる。なんだか真剣な顔でこちらを見つめるルーシー。本当に分かっとるんかい?
 我が家の廊下は玄関からトイレまでL字になっている。フローリングで滑るから、ここではあまり走らせたくはないのだが、外は大雨、ルーシーはNo.2をほぼ一日していないのだから、しかたがない。
 (あ)は廊下の横にある階段の2段目あたりに立ち、そこから廊下の床に向かって懐中電灯を照らす。途端に、ルーシーは床に映る光の輪に集中し始めた。光の輪を捕まえようと飛びかかる。懐中電灯を動かして、光の輪が廊下を走るように見せる。突進するルーシー。それでもクレートやドアに激突することはない。ふーん、ある程度は冷静なのね。

 時々、光の輪を壁やドアの側面に移動させる。ルーシー耳をそばだてて、じっと見つめる。虫と勘違いしているのかしら?懐中電灯を動かして、ルーシーの顔やお腹に光の輪を当てると、「キャ〜」とばかりに飛びすさる。・・・やっぱりそうか。

 玄関先のサークルの中に、容器に入れた水を用意しておいた。今度は、そこに光の輪を当てる。当てている間、ルーシーは攻撃しないで待っている。どうやら光の輪が水を飲んでいると思っているようだ。フェアプレーの精神なわけ?
 L字型の廊下をしばらく走り回らせて、懐中電灯のスイッチを切る。光の輪が突然見えなくなる。そうなった時に、ルーシーが(あ)の方を見たら、正解である。つまり、遊びの前にデモンストレーションしたことを覚えていれば、光の輪を見せていたのは(あ)だと理解し覚えていて、「遊びは終わりなの?」と訊いてくるはずだからだ。
 ところが、だ。ルーシーは歩き回って、光の輪を探している。L字の廊下の角から、そうっと頭だけ出して「そこに隠れているんじゃないの?」と覗いている。壁や天井までキョロキョロ眺めて「どこへ行っちゃったんだろ?」と探している。全くデモンストレーションのことは覚えていなかったようだ。
 結論:ルーシーの頭の中は、全くガキである。しかし、おかげで朝食後はスルスルとNo.2が出ました。