ヤドカリ?

 月曜日の朝は、(あ)も(た)も早起きで忙しい。それなのに宵っ張りで朝寝坊のルーシーは、クレートのドアを開けてもらっても、なかなか出てこようとしない。(た)は「雨が降り出す前に朝の散歩を」と考えて、ガムなどでルーシーを釣ろうとしているが、それもあまり効果がないようだ。ガムをとられた上に、ルーシー自身がクレートに戻ってしまって困っている様子。大体、Tシャツを用意しておいてから、クレートのドアを開けないとダメじゃん。優しい声を出してルーシーを呼んでいるが、本人は籠城中。兵糧責めどころか、兵糧持って籠城中だもん。めっちゃハッピーだよ。そりゃ出てくる訳ないわな。
 最近になって、ルーシーは、せっかくクレートから出してもらっても、自分がかまってもらえないと分かると、またTシャツを着せられると気が付くと、クレートに逆戻りしてしまうことが多い。それもバックで。
 ルーシーにバックを何回か教えようとしたが、本質的に怖がりなので、今まで失敗してきた。「バック」と言われても、Uターンして指示した方向に走ってくる。だから、(あ)はルーシーがバックはできないものと思いこんでいた。
 しかし、本当のところは、飼い主のコマンドに従う気はないけれど、必要に迫られたらバックもできるらしい。頭からクレートの中に入ったら、お尻を捕まれてしまう。また、クレートに入った後に、中でUターンするのは面倒くさいし大変だ。余裕がある時は後退して、お尻からクレートに入る方が、次に(あ)がクレートの中に腕を突っ込んできても、攻撃をかわせるし逃げられると思っているようだ。ふーん、なかなか考えたじゃん。
 しかし、ツメが甘いな、ルーシー。月曜日の朝のお母さんは、機嫌が悪いんだよ。クレートの後ろをムンズとつかみ、一方だけをグイと持ち上げる。クレートの床が急に傾いて、体が前に滑り「アレ〜?」とルーシーが頭を覗かせたところで(た)が捕獲。
 ところが、往生際の悪いルーシーは、傾いた床を蹴ってお尻からクレートの中に入ろうとしていた。アンタはヤドカリか?