よく聞いてね

 ルーシーに動作とコマンドを教えるとき、ハンド・シグナルは欠かせない。(あ)としては、特定の動作をルーシーに教える場合、最初はハンド・シグナルと言葉のシグナルを両方使って動作を教えて、ルーシーが慣れてきたら言葉のシグナルだけを使って指示を出すことにしている。しかし音だけでコマンドを理解するのは、ルーシーには難しいようだ。たとえば「バウ(お辞儀)」には、(あ)は自分が体を屈め、ルーシーの顎の下あたりを指さし「バウ」と言わなければならない。「バウ」という言葉だけでは、なかなか成功しない。「スピン」と「ターン」は回る方向が逆なのだが、言葉だけのコマンドでは方向を間違えることが多い。指で回る方向を示してやらないと失敗する率が高くなる。そしてルーシーは、自分が間違えたと分かると、不満そうに「アウ」という。「良いじゃん、ちょっとくらい違っても、一応回ったんだし」と言ってるんだろうか。
 ルイちゃんは、(あ)が「ルーシー、カム!」と呼ぶと「なあに?何か用?」と来てくれる。どうやら「ル」の音に反応しているようだ。一説によると、犬の聴覚は、母音はともかく子音の識別が難しいらしい。だから「ル」の音を構成する「ウ」という母音には初めから反応できても、Lの音は識別できるようになるまで時間がかかる。Lの音を学習する訳だ。犬は耳が良い割に、微妙な音の違いが分からないそうだ。
 また特定の言葉に対する犬の反応は、どれだけその音に慣れているかや、その言葉を発する時の抑揚やトーンで違うらしい。基本的に"come here(カム・ヒア)"と"comb hair(コーム・ヘアー)"の音の違いまでは分からないらしい。ただ"come here"は、よく耳にする言葉だし、この言葉を発する時は大体声が高くなるから、犬は歓迎されていると感じて反応が良くなる。
 犬が元来持っている音の識別能力だけを利用して、犬に反応させようとするなら「ア」と「ン」の母音が入っている名前が良いそうだ。これらの母音は、元々犬が自分で発することができる音なので、その音を簡単に認識して反応することができるらしい。だから「アンディ」や「サンタ」などは、やはりワンちゃんが覚えやすい名前なのだろう。
 海外のサイトからの情報では、犬の名前には複数の音節があるものが良いそうだ。よく使うコマンドには、たとえば"Go"など、一音節の言葉が多いので、Moe(モー)などの名前と混同しやすいという。また、その犬種が生まれた国の名前をつけると反応が良いらしい。
 たとえば、プードルはフランス語の名前(ピエールとかマルセルとか)をつけると、反応が良い。シェパード、ダックス、ロットワイラードーベルマン、ワイマラナー、シュナウザーなどはドイツ語の名前(グンターとかリースルとか)、コッカースパニエル、コーギーマスチフなどはイギリスの名前(ウィンストン、スペンサー、リリアン、ヘイゼルなど)が良いそうだ。ウィンストンて、ハゲたらどうすんねん!!
 ボーダーコリーには・・・うーん、ここが難しい。だってスコットランドイングランドの境界だもんね。ちなみに、スコットランドの名前だと、ジリアンとかモリーとかになるらしい。
 音声への反応を良くするだけのために、今更名前を変えられないもんなぁ。ちなみに、海外では"Lucy"は、人気のあるワンちゃんの名前トップ5に入っているらしい(エッヘン)。