Catch-22

 ルーシーは明日でちょうど一歳半。ということで動物病院で検診を受けることにした。体重は13.38キロ(リード・首輪込み)。先生に言わせると「フツーですね。」このままのレベルを維持できればとのこと。触診と観察では全く問題なし。
 今回は、半年前の検診のフォローアップが主な目的。ちょうど1歳を迎えるにあたり、無麻酔でレントゲンを撮ってもらったところ、股関節形成不全の予備軍と診断された。当時は、先生がレントゲン写真を見た上で、まだ骨が成長する可能性があると仰っていた。そして、骨が成長時期にある限りは要観察ということで、半年後に再度レントゲン検査をすることになっていた。
 結果から言うと、やはり股関節形成不全だという。今回の撮影時、ルーシーが嫌がって少し動いてしまったので、検査は100%正確とはいえないが、写真の中では骨盤は真っ直ぐになっていたので、診断にはほぼ間違いがないそうだ。右側の受け皿が小さく角度が浅い。受け皿が形成不全だからといって、今の段階で外科的な対処は必要ないだろうとのこと。また、大腿骨のソケット部分は両足ともに綺麗なままで、今のところ傷やデコボコは見あたらないという。
 困ったことに「フリスビーは止めなさい」と言われてしまった。急停止、急旋回、ジャンプなど、フリスビーは股関節に大きな負荷をかける。負荷をかけることで、大腿骨に傷やデコボコができてしまう。一旦、傷やデコボコができると、不思議なことに、時を経るうちに、修復されることなく大きくなっていく。そして神経に障るようになり、痛みが出てくるそうだ。理屈は分かっていたけれど、なんとかフリスビーを継続させる方法はないものか?時間を制限するとか、フリスビーを空中に飛ばすのではなく地面に転がして追いかけさせるとか、方法を工夫することで継続させ全面禁止は避けたいと相談してみた。しかし、先生は「股関節に負荷をかけないフリスビーはないですからね」と、にべもない。うむむ。
 では、どう必要な運動量を確保したら良いのか?ルーシーは水泳がダメなんですけど。
 「水泳ができるったって、毎日泳がせる訳にはいきませんからねぇ。」と先生。「一時間くらい歩けば、必要な運動量としては充分でしょう。」
 先生、ウチのは歩きで1時間程度、これに加えて、追いかけっこや取っ組み合い、またはフリスビーを休み休み(手元まで持ってこないから)で10〜15分です。1時間歩くくらいじゃ疲れてくれません。また今以上に時間をかけることも、私たちには難しいです。なんとか歩く時間を延ばすことができたとしても、そういう生活を何年も続けるのは非常にキツイです。非常にキツイのを我慢したとして、ルーシーが何歳になるまで頑張らないといけないのですか?必要な運動量が減り始めるのは何歳くらいなのですか?
 「普通は5〜6歳というところでしょうかね。しかし、ボーダーコリーは牧羊犬ですから、運動させていれば体力が下がる時期も遅くなるからね。」ゲ、運動させればさせるほど、こっちがキツイっちゅーこと?!私は既に腰痛持ちになってるのに?
 自分の犬にいつまでも元気でいて欲しいと思うのは、飼い主すべての願いだろう。犬の健康や体力を維持し老化を遅らせるためにも、運動は必要不可欠なのだ。フリスビーは、その意味でも追いかける本能を刺激する上でも良い運動なのに、その一方で、股関節を痛める可能性が高い。フリスビーができないとなれば、代替えの運動が必要になる。筋力は落としたくない。でもそうなると、飼い主がキツイ目に遭う。飼い主がキツイと継続できない。
 ピーママさんのように、自転車でワンちゃんを走らせるということも考えないといけないかも。ということは(あ)は自転車から練習しないといけないっつーこと?
 あまりに見事な八方ふさがりで、思わず「Catch-22やな」と口を突いて出た。先生は怪訝そうな顔で、こちらを見ている。まだ病気や症状が出ていないのに、(あ)の表情が暗かったからだろう。確かに、それはそうなんだけどさ・・・。 

 
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