いつフードを与えるのか〜30回の伏せ Part1

 以前いただいたアドバイスに従い、(あ)はルーシーに、公園で時々シツケ教室で習ったことを復習させることにした。とはいえ、ルーシーは公園に行ったら自由に遊べると思っているから、なかなかトレーニング・モードに入らない。誰もいないことを知ると、しきりに地面のニオイを嗅ぎ、リードを着用していてもフラフラと(あ)の側から離れようとする。なんとかこちらを向かせて「ついて」と指示して歩き出しても、集中力がすぐに途切れてしまう。トレーニング自体が嫌になっては元も子もないので、短い時間で終了させなくてはいけない。従って、こちらは復習させているつもりでも、非常にレベルの低い内容しかカバーできないのが現状だ。
 また仰向け抱っこについては、今でもルーシーは歯を剥き唸る。歯を当てたり、威嚇したりということはなくなったけれど、それでも反抗的な態度は改善されないままだ。(あ)は足を拭く以外でも、おやつを与える時に、ルーシーを仰向けに抱っこして、歯を剥き唸るのを止めたら褒めて一つずつ与えるようにしている。仰向け抱っこの嫌なイメージを払拭させたいと考えているからだ。
 先週のシツケ教室で、ルーシーの現状を話しアドバイスを求めた。特に訊きたかったのは「いつフードのご褒美を与えるか」ということだ。
 N先生に「フードに頼りすぎ」と指摘され、(あ)はフードを与える回数を減らすように心がけることにした。ただし、ルーシーは基本的に「ギブ&テイク」であり、ご褒美がなければ指示に従おうとしない。そして多くの場合には、飼い主に褒められたり、撫でられたり、遊んでもらえたりというご褒美では満足しないのだ。一方、N先生曰く「必ずしも『ギブ&テイク』ではないんじゃない?」とのこと。飼い主と犬の絆は雇用関係ではなく、フード以外のすべてを含んだものではないかと仰る。
 まず一つ目の例。飼い主に注目しようとしない犬にフードを使って注意を引くべきか、または指示を与えるかどうかは別にして、犬が地面のニオイを嗅ぐのを止め、飼い主に注目した時点でフードを与えるべきか。
 「犬や周囲の状況によるけれど」と前置きした上で、N先生は「フードではなく、遊びのご褒美にしたら?」とのこと。この場合、集中しないからといって叱らず(または罰を与えることなく)、指示に従って注目したら遊んでやった方が良いようだ。
 次に二つ目の例では「基本的にフードは与えない」とのこと。歯を剥き唸るのを止める、つまり「やってはいけないことを止める」からといっても、それはやはりマイナスがゼロになったに過ぎない。犬は当然とるべき態度をとっただけだから、せいぜい言葉で「良し」とか「グッド」とか、それが正しいと示すだけに留めるとのこと。そこでフードを与えてしまうと、フード欲しさに、いけないことを繰り返すようになると仰る。
 う〜〜〜〜ん。先生は基本的に、私とルーシーの間に雇用関係以上の絆ができていると考えておられるようだ。だからフードがなくても大丈夫と仰っているように聞こえる。しかし、ルーシーが仰向けだっこで歯を当てない、威嚇しないようになったのは、フードがあったからかもしれない。フードがなくなったら、元に戻ってしまうかもしれないのだ。そう考えると(あ)は懐疑的にならざるを得なかった。そして、N先生は(あ)の表情で察知されたらしい。クラス全員で、あることをやってみようと仰った。
・・・Part 2に続く・・・