飼い主と犬の絆〜30回の伏せPart2

 先週のシツケ教室で、N先生が「血糖値の負荷検査と同じで、頻繁にやったらダメなんだけどね」と前置きした上で「30回連続で『おすわり→伏せ』をしてみよう。30回終わるまで、フードはやらないこと。」と仰った。
 これを聞いた瞬間、(あ)は「到底ルーシーには無理だ!」と思った。家の中でも何かをさせる時、フードのご褒美は欠かせないし、連続技をさせる時は、ご褒美が出ないとルーシーは必ず「アウ(なんで直ぐに、ご褒美くれないの?)」とか文句を言うのだ。30回も伏せをさせたら「なんで同じことを繰り返させるの?さっき、やったじゃん。」とブーブー文句を言うに決まっている。集中力がもたないだろうし、ストライキを起こして飼い主の声が聞こえないフリをするんじゃないかな?そして、他のワンちゃんや飼い主さんにチョッカイを出すに決まっている。
 「これをやると、犬の性格と飼い主との関係が見えるんだよ」と先生。
 ええい「ダメモト」でやってやる!ルーシーの体力はあり余っていて、売れるものなら関電に売りたいくらいだ。とりあえず問題は集中力で、これを持たせることが鍵だ。始める時点で他のワンちゃんや飼い主さんがルーシーの背後に来るような位置を探す。「おすわり→伏せ」だけでは「さっき、やったじゃん」と文句が出るから「ゴロン」や「立って」などを噛ませながら、指示を出す。ルーシーは、何の疑問を持たずに、腕立て伏せのように「おすわり→伏せ」が30回できる従順な犬ではない。(た)には側で回数を数えてもらう。
 始めは褒める声のトーンを低く抑え、回数が増すごとに高くする。メリハリをつけて褒めなければ。時折、(あ)自身が場所を移動したり、遊ぶマネをしたりして、ルーシーを励ます。それでも、案の定、しばらくするとルーシーの「アウ」が出始めた。そのうち「フフフフフ」と鼻を鳴らし「お腹が減って死にそうですゥゥ。フードをくださいィィィ」と訴えてくる。何回か他のワンちゃんや先生のところへ行こうかとルーシーの視線が動いたけれど、なんとか注意をこちらに戻して30回を終えた。ルーシーを盛大に褒めて、バカバカご褒美を与える。うー、これって飼い主の方がキツイじゃん。それでも、やろうと思えば30回の「おすわり→伏せ」は5分以内でやれるそうだ。
 一方、大型犬には「お座り→伏せ」の連続は体力的にキツイようだ。ラブのハナちゃんは、体力を温存させるため、「お座り→伏せ」を30回連続で、無駄な動きをさせることなく、すばやく終わらせた。素直なワンちゃんは良いなぁ。
 意外だったのは、ゴールデンのレトリーちゃん。いつも落ち着いて様子で、飼い主さんの言うことはきちんと従うワンちゃんだ。ルーシーとは対照的に、ガツガツしたところがなく、また飛びついてアピールするようなこともなく、フードをあげると「ウフ」と笑って上品に食べるし、控えめに「撫でて〜」と甘えてくる。ただ今回は、伏せの連続が体力的にキツくなってくると「もうヤダ」と目で訴えるようになった。30回を終えたら、飼い主さんの口元をベロベロ舐めて「お母さん〜、もうさせないで〜。頼むから〜。」と訴えていた。先生曰く「ゴールデンの女の子はガンコだからね〜」。
 様子を見ていた先生が「なんやかんや言っても、ルーシーは文句を言いつつ、ちゃんとやったじゃん」と仰る。でも場所が教室の中だし、先生には良い顔をしていたいから、ストライキをしなかったんじゃないかしら?
 それに、やり遂げたとはいえ、飼い主に文句を言うことには変わりがないもんなぁ。これで良いと言えるのか?ま、今日のところは、これで勘弁しといたる。こっちが疲れてしまったわ。