ルーシーの天下盗り

 「キューバの人って飛ぶなぁ。何を食べたら、あんなにゴムマリみたいに飛べるんだろうか。」
 昨夜のこと、(あ)は座布団に寝転がって、リビングでバレーボールの試合を見ながらツラツラと考えていた。側ではルーシーが自分の座布団の上で、黙々と(あ、ガリガリと?)ガリ○オボーンを囓っている。そこへ電話が入った。
 電話中、ルーシーはウロウロとリビングを探検していたが、なぜか(あ)の座布団のニオイを嗅ぎ、わざわざそこへ寝転がった。(あ)が電話を終えて「ルーシー、どいて。あっちへ行って。アンタのは別にあるでしょ」と言うと、上目遣いでこちらを見ている。(あ)がルーシーの脇の下に手を入れ体を起こそうとすると、あろうことか歯を剥いて唸った。
 マズルを掴んで「ルーシー、ノー」と注意して、「アンタのはあっち」と指でルーシーの座布団を指した。それでも未練がましく前足だけ(あ)の座布団の上に置いたまま、離そうとしない。一体、何がしたいの?
 どう考えても(あ)の座布団の方がルーシーのより品質が良いとは思えない。ルーシーが横になるには小さいのだ。時折、(あ)はルーシーを呼び寄せて自分の座布団で一緒にゴロ寝することはあるけれど、今回のは明らかに他人の座布団を独り占めしようとしていたし。
 下克上なのか?天下盗りならぬ座布団盗りなのか?じゃ前足を座布団から離さないというのは?
 ・・・やっぱ、近々一回シメとかないかんわ。


「(た)よ、ワシが死んだら影武者を立てよ」