事件の傾向

 朝、公園に行ったらアデルちゃん、クーちゃんたちがいた。ルーシーは早速クーちゃんと取っ組み合い。アデルちゃんも二匹を追いかける。毎回出会う度にこの遊び。年がら年中、同じ遊びでも飽きないらしい。足元では一匹のワンちゃんが一人でボール遊びをしていた。
 ふと見ると、このワンちゃんはそのボールが気に入ったらしく、口の奥に入れてクチャクチャと噛んでいた。なんとなく気になって飼い主さんに「○○くんは、ボールを飲み込まない?大丈夫?」と声をかけたら、「ボールは飲まないから大丈夫」とのこと。確かに口の大きさから考えると、ボールは少し大きい。ただし唾で濡れた表面はツルツルしているように見えた。
 それでも○○君が噛んでいたボールは他のワンちゃんのものだったらしく、飼い主さんは一旦ボールを取り上げた。ところがボールの持ち主である他のワンちゃんの飼い主さんが、親切心から「良いよ、別に遊んでても」と与えてしまった。すると「あ」という間に、○○君はボールを飲み込んでしまった。
 この次の瞬間、事件は起きた
 幸いにも、ルーシーは今までボールを飲んだことはない。それでも、この公園では散歩の途中で何度か他のワンちゃんの「ボール飲み込み事件」の現場に出くわすことが多い。目撃した事例から考えるに、事件には次の傾向が見られる。

  1. 小型犬よりも大型・中型犬
  2. ♀よりも♂
  3. 元来ボール遊びが得意で大好き。独占欲・支配欲が強い。
  4. 他のワンちゃんと遊ぶことよりも、一人で遊ぶ方が好き。
  5. ボールはゴム製で柔らかく空洞。濡れるとツルツルするもの、表面に突起がないもの、噛むとピーピー音がするものが多い。
  6. ボールは口よりも小さいものが圧倒的に多いが、大きいボールでも柔らかいと折りたたんで口の奥に入れてしまうことがある。
  7. 自分のボールよりも他のワンちゃんのボール
  8. 連れている飼い主さんが女性または優しい人
  9. 自宅では飲まないけれど、他のワンちゃんがいるところで飲んでしまう(注:お酒じゃないですから)
  10. 犬が興奮状態あるいはストレスを感じている状態にある

 以上の傾向が必ずしも正しいとはいえないけれど、(あ)の目撃した事件を集約するとこうなる。中には犬自身は飲む気は全くなく、単に口の中でクチャクチャしているだけだったのに、何かの拍子にツルリと飲み込んでしまったケースもある。こういう場合は、その場で飼い主が叱っても、元より確信的犯行ではないから犯人も「なんで自分が怒られてるのか」が分からない。それよりも病院に走った方が良いと思う。
 ボールだけではなく、何にしろ消化できないものの丸飲みは危険である。一刻も早く吐かせなければならない。誤飲した場合には、呼吸困難をおこすこともあるし、よしんば胃にたどりつき、そこを通過しても腸閉塞になる危険性だってある。自宅での応急処置として「薄い食塩水やオキシフルを大量に飲ませると良い」とは聞くけれど、飼い主の方がパニックを起こすことは必定だ。また嫌がる犬の口をこじ開け、漏斗を噛ませて大量の食塩水を飲ませる余裕があるはずもない。早急に掛かり付けの獣医さんに行った方が良いだろう。
 エラソーに書いているが、ルーシーだって、いつ救急措置が必要になるか分からないのだ。異物を飲んだらどうするか、頭の中だけでもシミュレーションをしておこうと思う。しかし、やはり事件が発生し易くなる状況はあるのではないか。条件が揃っていると思ったら、特別警戒モードでルーシーを監視しなければ。