新しいシツケ教室へ

 土曜日から新しい教室で、しきり直しである。A先生から「柴のワンちゃんが一緒」と聞いていたので、当日は家を早めに出て少しばかりの運動と排泄を済ませ、授業開始の前に教室に入ることにした。早めに教室に行って、ルーシーに場所をクンクン調べさせ、少しでも場所に慣れさせておこうと考えたからだ。
 誤算だったのは、ルーシーはA先生とは何回か会っていて、すでに大好きな人になってしまっていたことだ。授業前に場所に慣れるどころか、先生につきまとい「可愛がって〜」と鼻を鳴らす。ついこの間まで「自分を可愛がってくれる人」だったのが、今日から「先生」に切り替えられる訳がない。ま、人が大好きなことは良いことなんだけど。フタを開けてみると、柴ちゃんは欠席。1時間以上もマンツーマンの授業となった。
 登録したコースは、先生の勧めでベーシック。コース内容は今までに習ったことばかりだけど、それでも完璧にできるかと言われたら自信はない。一つずつ実演して、ルーシーができること、できないことを先生に診てもらう。
 今回恥ずかしながら、初歩中の初歩「アイコンタクト」すら完璧ではなかった。声でのコマンドもハンドシグナルも効かない。フードで釣って、こちらに集中させなければならない。普段のドッグフードを出したが、こちらを向こうとしない。さらに砂肝でもダメ。仕方がないので、ピーママさんにいただいた切り札、レバー・トリーツを使うことにした。必殺のニオイのせいだろうか、ようやくこっちを向いた。ピーママさん、多謝!
 なにしろ、私たちから3メートルほどの距離には、買い物中のお客さん、搬入口を急ぎ足で行き来する店員さん、授業中に先生をつかまえて「この子(ルーシーのことらしい)誰?」と訊く子供さん、私たちの背後で立ち止まり、こちらを何故かじーっと見ているおばあさんと幼児のペアまでいた。こんな状態で授業を受けるのは初めてだ。おまけに「ツイテ」で歩かせてもA先生の近くに行くと、ルーシーはそちらに必ず目をやってしまう。絶えず流れるBGM、周囲の雑音も集中をかき乱す。早くも20分後には、ルーシーが目をショボショボさせ始めた。疲れた上に、店内は非常に暖かいので、マットで待たせている間に眠たくなってきたらしい。困ったヤツだ。
 ちなみに、この教室ではマットではなく、高さ30センチほどの台を使っているようだ。ルーシーが怖がるかと思ったが、マットを台に置いて「マット」と声をかけたら、直ぐに上がって見せた。あ〜、N先生のところでマットを習っていて良かった〜!!
 「ベーシックの内容の完成度を高めながら、少しずつダンスを導入していきましょう。」とA先生。例えば「マット」では、ルーシーのお尻全体がマットに乗っていることを−−あくまで飼い主がどこで満足するかどうかだけど−−目指していこうという。
 新しい内容としては「バック」を習った。実はルーシーの苦手な動作だ。何回かトライしたが上手くいかない。どうもお尻が下がって、ヘッピリ腰になってしまうのだ。ルーシーを向かい合うように立たせて、自分はフードを手に持ち鼻面につけるようにしてグイと押し、ルーシーが一歩下がったら「バック」「グッド」と声をかける。ともかく一から頑張ろう。来週までに少しできるようになっていると良いんだけどなぁ。