コマンド〜”How Dogs Think”

 先日からStanley Corenの"How Dogs Think"を読んでいる。自分に直接関係のありそうなところを拾い読みしているだけだけど。
 昨日「ほほぉ」と思ったのは、コマンドの話。多くのドッグトレーナーが「何を指示するかよりも、どう指示を出すかが問題」という。ドッグトレーナーは実際に犬とコミュニケーションをすることで、何が有効で何が有効でないかを体得している。経験から、犬とのコミュニケーションにおける基本を、無意識のうちに身につけているということだ。
 本の中で紹介されている研究では、英語からパキスタン語、ナバホ・インディアンの方言まで、様々な言語を母国語とする104人のハンドラーを対象に、彼らがどのようなシグナルを出して犬の活動レベルを変化させているかを調査した。「活動レベルの変化」とは、具体的には、犬を興奮させて行動を強化・促進するか、あるいは犬を落ち着かせて行動を停止させるかということだ。
 結果、ハンドラーは彼らの文化や言語の違いにかかわらず、一定のルールに従って犬にシグナルを出していることが分かった。短い音を何回か繰り返すことで犬の行動を強化・促進し、一方、一つの言葉を長く延ばすことで相手を落ち着かせ、静止させる。
 短い音のシグナル−−例えば、"Fetch it up!(持ってこい)""Be quick(急げ)!"−−は、犬に行動を止めさせたり、その場に待たせる時には、決して使われない。これらは広帯域の音である。犬の活動を停止させたり、落ち着かせるためには、一つの言葉の母音部分を、通常の会話の場合よりも長く延ばして言う。たとえば、英語なら"Down(伏せ)""Stay(待て)"では、「ダァゥゥン」「ステェェイ」となる。ちなみに、こちらは狭帯域の音だ。
 また口笛によるシグナルについても調査されている。牧羊犬を羊の群れの方向に走らせる時は、短い音を二回、犬に立ち止まらせ伏せさせる時には長い音を一回。また犬が群れに向かって動き始め、さらに急がせるためには、短い高い音で口笛を吹く。
 言葉以外のシグナルには、繰り返し手を叩く方法、太ももを手を打つ方法、指パッチン、舌打ち、唇をチュッと言わせる方法などがあり、これらは犬を動かす時、特に呼び戻しの際に使われることが多い。実は、これらは広帯域の音なのだそうだ。
 トレーナーの中には、飼い主に対してボイス・トレーニングを施す人もいるらしい。"Down"や"Stay"の発声法を「おじいちゃんが話すように」と説明しているとか。
 毎日、犬と接することで、自分も何か体得してきただろうか?ちなみに、ルーシーに対して一番即効性のあるコマンドは、「ガウ!」である。

How Dogs Think

How Dogs Think