おそるべき食欲

 今朝ルーシーは久しぶりに粗相をした。今朝(た)がルーシーの散歩をしてくれたのだが、帰宅後ルーシーは、いつになく水をがぶ飲みしたらしい。そこで(た)は出勤前に「朝食の時にトイレさせといて」と忠告してくれていた。
 忠告どおり、家の掃除を完了した(あ)は、朝食前に洗面所にトイレシーツを用意しておいた。そしてルーシーに「シーシーしておいで」と申しつけ、自分は台所から朝食を持ってきた。ところがルーシーはトイレをする様子がない。しかたがないから、朝食を与え始めた。
 ルーシーには朝食を廊下で与えることにしている。玄関先のサークルと反対側に置いたクレート、中間地点に置いたマットを使って、ちょっとした訓練をしているのだ。いつものように「サークル」「ハウス」「マット」と指示を出し、ルーシーを指定の位置に移動させ、少しずつフードを与え始める。ところがルーシーが指示に従いマットに座った途端、何やら小さな「シャ〜」という音。
 その時たまたま洗濯機を回していたので、一瞬、洗濯機のホースが外れて水が漏れたのかと思った。しかし、足元には水たまりが広がってきた。
 マットは廊下の中央付近に置くのだが、洗面所の入り口の目の前であり、ルーシーでも二歩も歩けばトイレシーツに行き当たる。それなのにマットでやらかすとは・・・。(あ)は、あまりのことに呆れてしまった。(問題が排泄の場合は、絶対に相手を怒らないようにしている)とりあえず、まずは水たまりと濡れたマットの処理をしなければ。
 廊下をフキフキしている間に考えた。
 (あ)がトイレシーツを用意した時には、ルーシーは既に排泄をしたかったはずなのだ。しかし「朝食だ〜!」と思った瞬間、排泄の衝動は食欲に負けた。ルーシーは食べる方を優先したのである。ところが体の方は正直で、我慢できなかった。そこで洗面所(ルーシーのトイレ)に駆け込むことは考えず、とりあえずマットにきちんとお座りをしたまま、用を足してしまった訳だ。
 ま、両方の欲求を満たす上で、合理的っちゃー合理的なんだけど。なんで二歩が歩けないのかねぇ。
 朝食を終えた後、ルーシーは自分でも「まずった」と思ったのか、(あ)に甘えに来なかった。いつもは「お尻、揉んで〜」と来るのだけれど、少々バツが悪かったようだ。
 そこまで食べることが重要だとは。(あ)には粗相をされたことよりも、そっちの方がショックだった。