仲間との遭遇

 夕方、散歩を早く切り上げて家に戻ることにした。風が強く雲がモクモク。雨の気配がする。おまけに黄砂なんだか花粉なんだか知らないが、目に入ってかゆい〜!久しぶりに会ったお友達のマロ君と一緒に、テクテク帰ることに。
 バーニーズのマロ君は、久しぶりに、この時間に公園へ散歩に来たそうだ。並んで歩いていると、飼い主さんから遅れ気味。(あ)が「暑くなったのかな?」と言うと、マロ君は足を痛めて3週間ばかり散歩を控えていたという。遊び仲間のワンちゃんに会うと嬉しくて飛び跳ねたり、走ったりしてしまうので、また足を痛めたら大変だから皆に会う時間は避けていたらしい。
 養木場が近くなってくると、マロ君は突然先を急ぎ始めた。いつもはおとなしいマロ君だが、リードをグイグイ引っ張って前に出ようとする。飼い主さんは小柄な優しい女性なのだが、「マロ!何、何、何、何?」と引きずられていた。側を歩いていたルーシーも、これにはビックリしたようだ。「マロ!引っ張ったらダメだよ!」と声を掛けられても、マロ君は何かに取り憑かれたように走りだそうとする。
 歩道の緩やかなカーブを過ぎた時、チラリとベージュの動物が見えた。あ、タヌキ!!
 最近、この公園では桜が咲き訪れる人が多くなった。芝生の広場以外でも、お弁当を広げてお花見に興じる人は多い。今日はあいにく天気が悪く人も少なくなってきたからと、ようやく安心して巣から出てきたところで、毛むくじゃらの二匹と鉢合わせしてしまったらしい。あっという間にタヌキは姿を消した。
 マロ君は猫やタヌキを見つけたら興奮して追いかけるクセがあるそうだ。これは追いかけられる側にとっては、怖いだろうなぁ。何せマロ君は35キロもあり、走ればドドドと音がする。ルーシーも道路で見かけたら猫を追いかけようとする。一回野良猫が隣の家で昼寝をしているところを見つけてからは、庭に出るたびに隣の家に猫がいないかチェックをして「ち、今日もいないのかぁ」と残念そうな顔をする。猫を見つけたら大興奮で追いかけるけれど、目の前にしたら自分から視線を外し何もできないヘタレである。
 しかしタヌキとは初めての遭遇である。(あ)が「ルーシー、仲間が迎えに来たよ。おうちへお帰り」と話しかけたら、ルーシーは「ヘッ」と笑って、なぜかマロ君のお姉さんを見上げた。どうやらタヌキなんぞ眼中にはなく、マロ君のお姉さんにいつ可愛がってもらえるのか、おやつをもらえるのかばかり気にしていたようだ。
 そういう意味では、コイツの方がよっぽどタヌキかもしれない。