上手く化けろ

 今日のシツケ教室はダンス!二週の間に(あ)はフニクリ・フニクラの振付に少しだけ手を加えた。少しでも見る側が飽きないように工夫したつもりだ。工夫と言っても非常に簡単なことである。「ツイテ」で歩いている途中で(あ)がターンし、続いてルーシーが反対方向にターンするという程度。
 先生はプログラム全体をご覧になって、さらに手を加えられた。「アップ」でルーシーが後ろ足で立ち上がり、(あ)の背中に前足をかけて進むというもの。チョコチョコと歩く程度だけれど、それでも新技である。問題は(あ)が手に握ったフードを小出しにしながら前に進むのだが、時々フードがバラバラと落ちてしまう。そうするとルーシーの注意はそちらに移ってしまい、落ちたフード探しを始めてしまう。ま、練習でフードの適量を見極めるしかないな。
 腹が立つのは、ルーシーが手を抜くことだ。暑い時や練習が繰り返しになると集中力が落ちるのは分かるが、一つ一つの動作をキッチリやらず勝手に省略してしまったり、他に気を取られたりする。今日は、教室と売り場の境界線に子供達が何人か座って見ていたのだが、側を通る度に「可愛がってくれるの?」と、そちらばかり気にしていた。
 元々ルーシーは、ジャンプなどの大技ができないので、プログラムも全体的にダイナミックさに欠ける。その上、このところルーシーの動きがなんだか緩慢になり、ボーダーらしいスピーディでシャープな動きが見られない。A先生のパートナーである青空(そら)ちゃんと比べると、その差は歴然である。先生は「青空が速すぎて私がついていけないこともある」「いろんなタイプがあって良いでしょう」と言って下さるけれど、どーーーも(あ)は不満である。タヌキといえども、一応黒白なんだから上手く化けろよと言いたくなるのだ。
 スピードアップを図るためには、モチベーションを上げることが大切らしい。褒め言葉を多用するとか、もっと魅力的なおやつを用意するとか、何らかの工夫が必要だという。褒め言葉を多用する余裕がないので、おやつはニオイのキツイ強力なものを用意したつもりなんだけど(それに『ここぞ』という時にしか使わないようにしているし)。
 心身疲れ果てて帰宅。いろんなことが上手くいかずにストレスだけが貯まっていた。それでもルーシーに排泄させるため、近所の遊歩道を歩く。すると昔、ルーシーが我が家に来た当初、よく散歩したゲートボール場に行き当たった。
 昔は、狭いゲートボール場の中をクルクルと何周かリーダーズ・ウォークしたものだった。暑い暑い夏、ルーシーは首輪にもリードにも慣れず、一緒に歩くことさえ一苦労だった。そんなヤツが今ではダンスをしようかというところまで来たのだ。そう考えれば、少しはボーダーらしくなってきたのかも。
 とりあえず秋のステージ・デビューをめざして頑張ろう。ルーシー、もっと上手く化けられるようになってね。