名犬ラッシーは賢いか?

 雨の昼時(あ)は、ぼんやりとテレビで映画を少し見ていた。N○KのBS2でこの時期、名犬ラッシーの映画を放映している。子供時代の記憶によれば、名犬ラッシーは映画とテレビだったと思ったが、調べてみるとラジオ番組もあったようだ。それだけ人気があったということだろう。
 さて、昨日やっていたのは「名犬ラッシーの大冒険」という映画で、ラッシーの飼い主であるティミーという少年とラッシーが、誤ってカーニバルの宣伝用の気球に乗りこんでしまう。気球は強い風に煽られ、なんとか少年が自力で地面に下りることができた時、そこは見知らぬ山の中だった。ちなみに気球は知らない町の上空も飛んでいたのだが、人っ子一人いそうもない、木の生い茂った山にたどり着くまで、少年は下りることを考えていなかったようだ。ま、町で下りちゃったら大冒険にならなかったんだろうけどね。
 山の中に下りた少年とラッシーは川を目指して進む。途中「今まで見たこともない大きな野性のイノシシ」と出くわす。少年はイノシシの姿を見た途端、木の陰に隠れラッシーの体を抑えながら「ラッシー、静かに」「ラッシー、行っちゃダメだ」と言い聞かせる。
 ところが本能に火がついたのか、ラッシーは飼い主の制止を押し切り、イノシシに突進、勇敢に戦うのである。少年はラッシーを助けようと、自分で作った弓矢でイノシシを退けるのだが、ラッシーはイノシシのキバで深手を負う。動けないラッシーを励まし、食べ物を差し出し「ラッシー、食べなきゃダメだ」と涙ながらに訴え、甲斐甲斐しく世話をする少年。飼い主と犬の強い絆−−−。
 ・・・と言いたいところだが、ラッシーは本当に賢いのか?
 大体、なぜにイノシシに自分から戦いを挑むんだ?ティミーがそれまで見たこともない大きなイノシシだと言ってるのに、自分が勝てるとでも思ったのだろうか?それにイノシシは二人に気が付いていなかったんだから、通り過ぎるまで隠れていたら良いだろうに。アンタには危機回避本能はないのかね?そういうのは勇敢とは言わんぞ。それに飼い主が危険だと判断して「ラッシー、行っちゃダメだ」と言っているのに、なんで呼び戻しが効かないんだよ。
 数十年の時間を経て飼い主の立場で見てみると、同じ犬でも全く違う印象になるから不思議だなぁ。数十年の間にスレてしまい、迷犬ルーシーを飼う立場になったら、ラッシーのすばらしさを素直に褒めることができなくなったのかもしれないが。
 名犬ラッシーのシリーズは、今後何回かに分けて放映されるようだ。雨などで外出できない飼い主さん、是非「名犬ラッシーは本当に賢いのか」を検証してください。