ダンサー失格

 近年の気象庁発表で「近畿地方は、○○日に梅雨を迎えたように見られる」っていうコメントを聞く度に「誰に見られたの?」と思うのは私だけ?ま、そんなこたーどうでも良いんですけど。
 今朝は曇り空なのでルーシーの頭も直ぐには熱くならないだろうと、F公園へ長めの散歩。「誰かいないかなぁ」とルーシーと一緒にキョロキョロするも、誰もいない。みんな雨を警戒して、お散歩を取りやめしたんだろうか?
 ボール遊びの前にダンスを復習しに、ルーシーのダンス・スタジオ(笑)へ。この分だと社交ダンスも太極拳もおるまいて。へっへっへ。ポールポジションをば占拠してくれる!
 (あ)は、これまでダンサー達を観察して「どうやら彼らにとって、一番良い場所らしい」という場所を見つけていた。少し奥まっていて、音楽を流しても吹き抜ける風の音に邪魔されない。それでもガラスに自分の姿がよく映る。博物館の入り口に面していないので人通りを気にすることなく、また博物館の中からも、あまり目に付かない場所。
 鼻息荒く行ってみると、なんと日本舞踊のおばさんがいるではないか!!小さなカセットを地面に置き、きっちりと和服を着込み足袋と草履を履いて、扇をヒラヒラさせている。想定外のダンサーとの遭遇にその場を動けないでいると、おばさんたらチラリと「何よ?」と視線を投げてきた。
 おばさんは、着物でタイルの床に正座するので、思わず「あ〜、せっかくのお召し物が汚れますよ」と言いたくなる。いかんいかん、ダンサーは、他人に干渉してはいけないのだ。鏡の中のオノレの姿のみを見つめなければ。修行が足りん。
 しばらく「フニクリ」を復習した後、芝生の広場に移動してボール遊び。なんだか視線を感じるなぁ。気のせいか?
 ルーシーは、誰もいない芝生で紐付きボールをくわえて走り回っている。ダンスも良いけど、ワンコ本来の姿こそ見ている人間をホッとさせてくれるなぁ。ボールをこちらの手元まで持ってきてくれたら最高なんだけど。また、あんなとこでニオイ嗅いでるし。ん?んん?やっぱ誰か見ている?
 ふと周囲を見回すと、先程の日本舞踊のおばさんがガラス越しにこっちを見ていた。どうやらルーシーが勝手な方向に走り(あ)が「ルーシー!」と大声を出すのが気になっていた様子。(あ)の声はもろに博物館のガラス面に反響して、おばさんには大変な邪魔だったようだ。
 ダンサーは、他人に干渉してはいけないのはもちろんのこと、他のダンサーの邪魔をしてはいけない。いきなりダンサー失格である。