訳分からん

 悪い予想って、なんでこうも当たっちまうんだろう?
 前回のシツケ教室でストライキを起こし怒られ、週末は無視作戦でちょっとは反省した(はずの)ルーシー。無視作戦の後は、コマメにコマンドを出し、ルーシーが従ったらコマメに褒め、なるべく怒らないように努めた(あ)。今週こそは、ルーシーがやる気を出したところで、激しく褒めちぎり、テンションを上げてやらねばと思っていた。
 ところが、またもやストライキである。それもダンスのみ。
 今回はベーシックから入る。地雷原演習で、いろんなポジションを取る練習。ルーシーは地雷に見向きもせず非常に積極的。「これならイケるかも!」と(あ)も褒めまくる。このままのテンションでダンスへ行こうと、先生の指示を待たずにターンやサイドチェンジをしてみる。ルーシーは少し慌てたものの、見事についてきた。ところが、だ。
 先生が「それじゃ、今みたいにダンスの他の内容を確認してみましょう」と仰った瞬間に、ルーシーは教室の隅へ移動。(あ)は、他のおやつを取り出しルーシーを呼び戻そうとしたが知らん顔。カンガルー・テンダン付き伸縮孫の手を取りだし、ルーシーの鼻面に近づけておびきよせようとしても全く反応しない。それどころか伸縮孫の手から顔をそむけてへたり込んでいた。
 この二週間のルーシーの様子を見て分かったこと。
 1)家ではダンスの練習も積極的にやる。
 2)教室ではダンスをしたくない。
 1)については理解できる。ルーシーの場合「練習=食事」なので、練習をしないということは食いっぱぐれるということだからだ。ダンスが好きかどうかに関わらず、やらなきゃいけないことだとインプットされている。ただし2)については、拒否の理由やきっかけになった出来事が全く思い浮かばないのだ。
 確かに、教室は犬にとって暑いだろう。動いていると人間も汗をかくくらいだ。それでもエアコンが入っているし(我が家はエアコンは使っていない)夏本番はこれからだ。これだけが理由とは思えない。
 平日は(あ)が散歩させているので朝食も早い。しかし週末は(た)が担当ので、朝食時間は平日に比べ3時間近くも後だ。午後4時の授業では、お腹が減っていないのかも。そう思った(あ)は今回の授業に臨む前に、朝食を減らし、ルーシーがお腹が減った状態にしていた。それでもダンスは嫌なのだろうか?
 ルーシーが全く動こうとしなくなったので、(あ)は先生にお願いして、先生の愛犬である青空ちゃんに相手をしてもらうことにした。青空ちゃんはセラピードッグなので、他の人のコマンドにも従うように訓練されている。普段、授業中はクレートの中でおとなしく待っているのだが、無理を言って登場してもらった。
 青空ちゃんを相手にベッグの練習をしていると、ルーシーが隅から「私も」とやって来た。それまでは、いくら呼んでも来なかったのに。様子を見ていた先生も「どうして?」と目を丸くして驚いていた。
 この点だけに関しては、(あ)は予想できていた。ルーシーにとって、(あ)のウェストポーチに入ったおやつは自分のものであり、「ダンスをするか、おやつをもらうかは自分に選択権がある」と思っていたのだろう。ダンスよりおやつが重要ならダンスをするし、おやつは要らないから休んでいたいと思ったらストライキを起こす。一方、青空ちゃんは非常に積極的に、かつ正確にコマンドに従い、ご褒美を確実にもらえる。そして、そのおやつは自分がもらえるはずだったものだ。おやつを他の犬に盗られたくないから、やる気を出さざるを得なくなったのだ。
 青空ちゃんのおかげで、ルーシーは一時的にやる気を出したものの、毎回お出まし願うこともできないだろうから、何か手を打たなければならないだろうなぁ。
 ルーシーにとってダンスは−−−少なくとも教室では−−−やらなければならないこと、つまり仕事ではない。家では仕事をしないと食事がもらえないと思っているから、やる気を見せる。しかし教室では、ダンスをしないからといって怒られないし飢えることもない。どうやらルーシーの頭の中では、こういう論理ができあがっているようだ。
 問題は、だ。「やらなきゃいけないこと」と認識させるべきか否か。
 とりあえず暑さも拒否の理由から完全に外すことはできないので、来週は一時間遅いスタートでスケジュールを組む。そこでもう一度様子を見ようと思っている。