犬のDNAテスト

 A先生に「人間らしいと言うか、なんというか・・・」と言わしめたルーシー。飼い主も「コイツ、本当はボーダーコリーどころか、犬でもなくてタヌキじゃなかろうか?」と思うこともしばしばだ。本来、特定犬種をペットにするメリットには、その犬がどんな性格や性癖の持ち主であり、どんな行動をするのかが飼い主にとって理解し易く、育てやすいことが挙げられる。ただし何事にも例外はつきもので、ルーシーは(あ)の予想を裏切ってばかりだけど。


 アメリカでは最近、犬のDNAテストがさかんに行われているそうだ。そもそもDNAテストは、人間の子供の実父確定や犯人捜しに利用されていたけれど、配列解析技術にかかるコストが引き下げられたことで、自分のペットにDNAテストをさせる飼い主が増えてきたそうだ。実際テストにかかる費用は65ドルで、これは高級シャンプーやドッグ・マッサージ(!)よりも安いらしい。目的は、ペットが今後発病しそうな病気や遺伝疾患の可能性を見極めたり、ご先祖様の犬種を特定したりということらしい。また疾病により遺伝子に突然変異がないかどうかを見極めるというケースもあるという。
 ウィルソン家は、飼い犬ドレイクの行動に当惑していた。ドレイクは4年前にワシントンにあるシェルターから引き取った。そこのスタッフの話によると、ドレイクはスパニエルとプロット・ハウンドのミックスとのことだったが、4フィートもあるフェンスを飛び越えたり、家族を家畜のようにハーディングしたりする行動を見るにつけ「この子はボーダーコリーかも」と思うようになったそうだ。家族が玄関に近づこうものなら、ドレイクはどの部屋に居ようとも必ずやってきて、家族をまとめながら玄関から追い出そうとするらしい。
 ドレイクが受けたDNAテストは、DNAの96カ所を調べて38犬種のデータと比較するものだった。結果が出るまでの間、家族はそれぞれドレイクはボーダーコリー、チャウチャウ、ラブ、スパニエルなどの犬種の血筋を引いていると予想していた。ところが、全く予想していなかった結果が出た。ドレイクのDNAが一番近いのはシベリアン・ハスキーだったのである。
 結果を知った飼い主は「そういえば、ドレイクは雪が大好きなんだ。雪の中で何時間も遊んでいるもの。ボクは考えもつかなかったけどね。」