S公園で

 このところ町の外れにあるS公園に通っている。ここは規模は小さいながら、遊具や野球場、トイレに水飲み場、あずまやも整っている。フラッシュ君のママさんから教えていただいたのだが、とても使いやすい。

 野球場はもちろん地面が砂なので「おはぎのきなこまぶし」を覚悟しなければならない。しかし水はけが良いので、少々の雨が降っても泥んこになることは少ない(ただし外野の端っこは土が粘土質なので要注意)。場内に水飲み場があるので、持参した水がなくなったら補充は簡単。雑草も少ないからルーシーが食べることも少ない。何よりも素晴らしいのは脱走不可能なこと。野球場の周囲にはフェンスが巡らされ、外野には高さは1メートルちょっとだろうがコンクリートの垂直壁。フェンスには2カ所ほど入り口があるが、そこさえ死守すれば問題ない。

 一方、野球場なので日陰は少ない。これからの季節は、早朝ならともかく日中は地面が熱くなるだろうし、夕方も西日が当たる。人間も犬も暑さから逃げられない。ルーシーも、昨日はチーム席の下で腹這いになっていた。
 2日間ほど夕方に行ってみると、サッカーやキャッチボールに興じる人がちらほら。サッカーの人は外野の壁に向かってフリーキックの練習。ボーダーコリーという犬種の割には、ルーシーは大きな音には無頓着な方だ。それでも、外野の壁にボールが当たると反響する。それが少し気になっているようだった。怖がったり、相手を威嚇しに行ったりということはなかったけれど、遠巻きにチラチラ見ながら気になるみたいだ。キャッチボールの人もグラウンド全体を使っている訳ではないから、こちらが隅っこで遊んでいても文句は言われなかった。シメシメ、お気に入りの場所に加えちゃおうかな。
 今朝公園に行ったら、おじさんが一人、壁に向かってソフトボールの投球練習。隅っこでルーシーと紐付きボールで遊んでいると、声をかけてこられた。
 「エサ、出したら来るんちゃうかな」
 ルーシーがなかなか手元までボールを持ってこないのを見ておられたようだ。恥ずかしー!!「僕がこの子を追いかけたら、(ボールを)持ってくるんちゃうか?」
 おじさんはルーシーの方に片手を伸ばしながら「ちょうだい」と言い、近づいていく。ルーシーはボールをくわえて移動し、おじさんから一定の距離を保つ。しかし(あ)の手元には持ってこないで、どんどん離れてしまった。
 「一回、そのボール(紐付きボール)を投げさせて」と、おじさん。ダイナミックな投球フォームから繰り出した球は、なぜかフライのように上がった。
 「あかん〜、このボールは難しいわ」何回かトライしたけれど、全部フライになっちゃうことに納得がいかないらしい。彼の気持ちを知ってか知らずか、ルーシーは傍で腹這いになりヘラヘラと笑っていた。

 公園からの帰り道、新しいお友達ジェイ君と出会う。男の子のダックス君にしてはアプローチが控えめだ。見ると立派な眉毛(なのかな?)。子供の頃はなかったのに、ある日突然生え始めたらしい。今では立派なメッシュ眉毛。
 飼い主さんとお喋りをしているうちに、お友達のシェリちゃん登場。見ると、シェリちゃんのまつげも長〜い。眉毛やまつげを伸ばすのは、今時の流行?
 「いやぁ、トリミングの時に切ってもらうのを忘れたのよ」と飼い主さん。ふーん、スパニエルって、まつげもトリミングするのかぁ。ルーシーなんか、お父さんにケツ毛を刈ってもらってるんだけどなぁ。この間「暑そうだから」と腹毛を刈ったらガタガタになっちゃったし。そいでもって「見えないから大丈夫」だって。シェリちゃんとは随分と待遇が違うねぇ、ルーシー。

 散歩コースを変えたら、景色も出会う人もワンちゃんも違うなぁ。F公園はホームって感じだけど、時々変えてみるのも良いかも。