雨の日の散歩

 台風の端っこが当たっているのだろう。朝から生ぬる〜い風がびゅーびゅー。時折パラパラと雨。掃除と夕食の準備をして、雨だけ上がるのを待って8時頃朝の散歩に出かける。ルーシーは、家の中で排泄をしない。「できない」のではなく、あえて「しない」のだ。家の中で排泄してくれたら楽なのに〜。何度となくコマンドを出し促してみるが、水も飲まずにフテ寝を決め込み排泄をガマンしてしまう。困ったヤツだ。
 結局、今朝も根負けして散歩に出る。
 少しでも雨が降ると、ルーシーは散歩のルートで、しつこくニオイを嗅ぐようになる。乾燥状態よりも、ニオイを強く感知するのか?いつもの「BBS(最寄りの小学校の前の草むら。いろんなワンちゃんがコメントやレスをしているらしい)」辺りをクンクン。それでも本人は一向に排泄する気配がないので「ルーシー、行くよ」と声をかけると、その瞬間にわざと四つ足を踏ん張って動こうとしない。雲行きが怪しいんだから、ニオイ嗅ぎに時間をかけてられないよ。
 最初のNo.2はスルスルと出たものの、2回目が出ない。時折かまえてみるものの「やっぱ、違った」と立ち上がったり、カラスの鳴き声にビクついて止めてしまったり。とうとう小雨が降り出した。どうすんだよ、オイオイ。こちらのイライラが伝わったのか、ルーシーはやる気を失ってしまった。
 台風の進路次第では、夕方は散歩ができないかもしれない。とりあえず1時間は歩いておきたい。No.2も朝の規定排泄量を満たしていないし。どうせ少し濡れちゃったし。テクテク歩いていると、小雨の向こうから走り寄る小さな生き物。クーちゃんだった。お母さんが「ウチも(No.2が)出ないから、(近所を)回ってるんです」
 ルーシーは頭がおかしくなったかと思われるほどヒイヒイと声を出し、後ろ足2本でピョコピョコ飛びながらクーちゃんのお母さんに甘える。お母さんは、いつもどおりルーシーを撫でて「アンタらは、毎日走ってこそ用が足せるんやものね。走らないで、ウ○チを出す方が難しいんやろうね」。仰るとおりである。
 見れば、クーちゃんのお母さんも濡れていた。帽子も被っていないから、髪の毛もペッタンコになってしまっていた。お仕事もあるし子育てでも忙しいだろうに、本当に寛容な人だなぁ。なかなかNo.2をしないルーシーにいらついていた自分をちょっと反省。
 クーちゃん達と分かれた後、F公園を抜ける。なんとか規定排泄量をクリアしたので、少し早足で歩く。ルーシーもこちらの顔を見上げながら笑っている。快調、快調。さっきは悪かったね。イラついて。
 ところが家まで後少しというところで、再び雨が降り出し激しくなってきた。チクショー!ずぶ濡れじゃんか!アンタがしつこくニオイばっかり嗅いでるから、遅くなっちゃった。ずぶ濡れになったのは、お母さんのせいじゃないぞ。アンタのせいなんだからね!そもそもアンタが家の中でウンウンをしてくれたら、散歩に出ないし、濡れることもなかったんだから。信号を待っている間に濡れた頭をズボンにこすりつけるなっつーの!!
 とまぁ、雨の日の散歩は毎回、反省したり悪態ついたりしながら家に戻る。そして「次は絶対家でしないとダメ!分かった?」とルーシーに言い聞かせる。「次も結局根負けして散歩に出るんだろうな」と思いながら。