十字靱帯の断裂について 1

 以前このブログでも書いたとおり、(あ)は膝関節の十字靱帯の断裂について情報を集めている。ところが海外のサイトを調べれば調べるほど、獣医や病院が提供する情報と、飼い主さんが自分の犬の靱帯断裂について紹介している情報の内容に大きな開きがあり、正直なところ当惑している。
 とりあえず、まずは両者に共通する認識と情報を提供した上で、異なる意見や情報を紹介したいと思う。
膝を曲げると、大腿骨と脛骨が体の前方に向かって滑るように動く。膝を伸ばすと、二つの骨は体の後方に向かって動く。膝の十字靱帯は、二つの骨が許容範囲以上に動かないように制御していて、これが断裂すると膝の関節が不安定になり、痛みや歩行困難を生じる。
 原因は大きく分けて二種類。膝を急激に捩るなどの急性外傷と変性によるものだ。変性というのは、要するに靱帯組織が劣弱になることを意味し、主に老化や構造の異常、日常生活で座ってばかりいることや免疫が介在して発生する関節炎などが関わっている。猫の靱帯断裂は、通常外傷によることが多い。
 靱帯断裂は、通常患部を触診して診断する。膝を動かして脛骨と大腿骨との関係から「drawer movement(引き出しのような動き)」をするかどうかを見るのだ。しかし、この兆候が見られないからといって、靱帯断裂の可能性がゼロになる訳ではない。疑いがある場合には、麻酔をした上でレントゲン撮影を行う。ただし、靱帯自体はレントゲンでは写らないので、あくまで問題がその他の筋肉や骨格によるものではないことを確認するだけである。ちなみにMRIなら靱帯の状況を見ることは可能だが、コストがかかる上にどこの動物病院でも利用できる訳ではない。
 靱帯断裂の治療で最もよく推奨されているのが外科手術である。さまざまな技術が利用されている。一つの手術法は、Extra-Articular Method(関節追加法とでも言おうか)で、強力なナイロン繊維を8の字にして関節の片側に固定し、膝関節を安定させるというものだ。同時に半月板を診察し、損傷している場合には、これを取り除く。損傷した軟骨を安定または除去した後、関節嚢を締めて関節が異常な動きをしないようにする。術後、膝関節が治るまで通常1〜3週間は、患部にきつくバンデージをして足をサポートする。手術後は、ペットの運動能力を向上させるため、アイシングやリハビリ、マッサージをすることが重要である。手術後、個々のケースにより回復(リハビリ)には数週間から数ヶ月かかる。膝の損傷により、術後も関節痛が起こることもある。回復後も、運動制限と体重管理は必要である。

 次回は、獣医・動物病院と飼い主の間で相違のある意見や情報を紹介したい。