夕方の公園で

 どんどん日没の時間が早くなり、よって散歩の時間も前倒し。それでも、ひとしきり遊んだら、周囲はどんどん陽の光が弱くなる。ルーシーは元来あまり目が良くないようで、薄闇が迫る頃には見知った人やワンちゃんでも警戒するようになる。今日は、それで失敗してしまった。
 芝生の広場の端っこでボール遊びをしていたら、右手前方から大きな袋を持った知らないおじさん、左手前方から友達でコッカースパニエルのシェリちゃんがやってきた。シェリちゃんは、これまた前方にいたメグちゃん達に挨拶をしに近づいた。
 ルーシーは口に紐付きボールをくわえたまま、低く唸り始めた。急いで呼び戻しをする。こうすると、通常、警戒対象が通り過ぎるまで(あ)の足の間に座り、こちらがOKを出すまで静止している。警戒対象が行き過ぎると、安心して、また遊びに戻る。
 てっきりルーシーが警戒しているのは、おじさんだと思っていたが、実際はシェリちゃんだったようだ。後々考えてみると、シェリちゃんには久しぶりに出会うし、相手は飼い主さんとお友達がご一緒だった。シェリちゃんだと気が付かなかったのかもしれない。
 おじさんが行き過ぎてOKを出したら、右手後方から甲斐犬のサクラちゃんがシェリちゃんに近づいた。するとシェリちゃんは、なぜかサクラちゃんに向かって吠えた。左側からシェリちゃんに近づき吠える様子を見たルーシーは、急にシェリちゃんに突っかかって行ってしまったのだ。
 仲間(この場合はサクラちゃんだが、ルーシー自身、サクラちゃんには何回かヤラれているので、この二匹の間に友情があるかどうかは疑わしい)を守ろうとする義侠心ゆえか、それとも喧嘩っ早い気質のせいなのか、単に「いっちょかみ」しようとしたのか。そこは分からないが、シェリちゃんに突撃したのには、ギョッとしてしまった。
 幸いにもシェリちゃんにケガはなく、少し安心したが、自分の失敗にガックリきてしまった。
 ワンコの心理を理解しようとしてもムダだという人もいる。相手は別の種なんだから、当然その心理を100%解明できる訳がないし、そんなムダなことをするより、自分の犬が他に危害を与えないようにシツケなさい、と。そのとおりだよなぁ。それでも考えちゃうんだよなぁ。一体、何が怖いのか。何を警戒しているのか。
 これから「つるべ落とし」のように日が落ちるのは早くなる。夕方は特に気をつけなくっちゃ。