なんで、そーなるの?

 以前、一部の犬の飼い主さんの間で、市にドッグランを造る提案をしようという話があった。既存の公園では、犬の放し飼いは禁止なので、なかなか犬同士で遊ぶことができない。近隣にドッグランはあるものの、有料だし毎日通うことは難しい。市所有の余剰の土地があるのなら、そこを借り受けランとして整備して、ユーザーの責任の下に管理をしようじゃないか。
 この話は当時の市長が任期満了を迎えたため、市に提出されることはなく、一旦白紙に戻された。そして今、ドッグラン整備の提案が議会に提出されたそうだ。
 この提案について、(あ)は正直、複雑な気持ちでいた。
 遊びは、犬が互いにふれあいコミュニケーションを学ぶチャンスであり、それが社会化につながる。犬同士のトラブルを回避する上でも、コミュニケーション方法を学ぶことは重要だと思う。また、ルーシーのような取っ組み合いバカ一代にとっては、心おきなく走り回れる場所があるのは、ありがたいことだ。またユーザーを限って使用させるのであれば、衛生面でも安心できるではないか。
 世間では昨今、公園から犬を閉め出す傾向が強くなってきている。これは犬を放し飼いにするかどうかの問題だけではなく、排泄物や抜け毛をきちんと処理しない飼い主が多いせいでもある。所有側が予算削減でボランティアに維持管理を託さざるをえなくなってきている。ボランティアにとっては、草木の世話はともかく、飼い主が処理しない犬の排泄物の面倒まで引き受ける気にならないだろう。ドッグランを造ることは、両方のニーズを満たす良い方法のように見える。
 ただしドッグランができたら、それ以外の場所で遊ぶことが難しくなるだろう。たとえロングリードを着用していたとしても、犬の飼い主以外の人たちは「ドッグランへ行け」という目で見るのではないか。ドッグランを造るのは良いけれど、それによって、地域の中で犬の飼い主とそれ以外の人々が隔絶されてしまうに違いない。隔絶されることによって、人々は飼い主のマナーの悪さを理由に、ますます公共の場所へ犬が出入りすることを嫌うのではないだろうか−−。
 (あ)がアレコレと考えている間に、提案は議会で却下された。K産党は賛成してくれたが、K明党が「市有地で造ること」に反対したらしい(議会でK明党議員は多数派)。そして隣のK市にドッグランを造る計画が進んでいて「そんなにドッグランに行きたかったら、そこへ行きなさい」という意見が出されたと聞く。
 こんだけ遊んでいる土地があって、除草作業だって大変で、維持にはお金がかかるはず。ドッグランにすれば、その一部が浮くっつーのに、なんでダメな訳?
 で「K市へ行け」?なんで、そーなるの???