何かが起こった時

 先日見かけた光景について書きたいと思う。自分の考えが正しいのか間違いなのか、自分でも自信がなくなってきたからだ。
 播磨に出かけた日、途中で三木SAに立ち寄った。ここには無料のドッグランがあり、私たちも時々利用させてもらっている。西の方面でディスクやアジの大会が開催されると参加するワンちゃんが立ち寄るので、思いがけず知らないボーちゃんに出会うことも多い。
 この日は、私たちの前にピット・ブルが5匹ほどランに入っていた。近寄っていないので、見間違いかもしれないが、中にはチェーンのショックカラーを着用している子もいた。男性がボールを投げると、大半が追いかける。フェンスの周囲には他の犬や人もいたけれど、ブルの目はボールにクギヅケである。女性は、傍らで写真を撮っていた。犬自身はきちんとシツケをされていて、男性が大きな声で注意すると、よからぬことをしていた子も直ぐに止める。
 大型闘犬の犬種だからといって、必ずしも気が荒いとは限らない。反対にルーシーのようにボーダーコリーとは思えないアホもいれば、超攻撃的なチワワだって存在するだろう。ピットブルは、飼い主に対しては非常に愛情豊かだと聞いている。これだけ多くの犬を飼っている人だから、ピットブルに惚れ込んでいるだろうし、気質を充分理解した上で普段からシツケには気を配っておられるだろう。それでも、彼らと同じランで遊ばせたいとは思わない。
 「ルーシーのシツケが行き届いていないから」これは事実である。しかし、たとえルーシーのシツケが行き届いて100%飼い主に従える犬だったとしても、ピットブル5匹に混じることは避けるだろう。
 理由は簡単だ。犬同士だと何が起こるか分からないからだ。そして相手が大型闘犬種だと、何かが起こった時ダメージは致命的だ。犬種で差別するようでイヤだが、こればかりは仕方がない。
 という訳で、我々は遠巻きにランを見ながら周囲の芝生で排泄をさせた。すると、勇気のあるミニチュア・ダックスを連れた人が、ブルの飼い主さんとフェンス越しに話しているのが耳に入った。先の男性の「コイツらは悪さはしませんから」という声が聞こえてきた。
 そうかもしれない。それでも、群れではなく一匹ずつランに入れる工夫をして欲しい。私の見る限り、ピットブルは多頭飼いされているワンちゃんのようだった。万が一、その中の一匹が機嫌を損ねて他の犬に危害を加えた時、他の群れのメンバーが加勢することも考えられる。ピットブルの飼い主さんは、そのことを考えたことはあるのだろうか?そして自分が加勢する5匹を引き留められると考えているのだろうか?
 ピットブル自体に罪はない。闘犬種ゆえに、普段フェンスに囲まれる生活を送り、他人や他の犬とふれ合う機会が少ないことも同情する。だから、こういうランで遊ばせること自体は反対しない。それでも群れをランに入れることは、あまりにも犬を信用しすぎていると思う。
 果たして、ミニチュア・ダックスの飼い主さんが自分の犬をランに入れたかどうか。そこは見ないで去ったので分からない。もしかしたらピットブル達と仲良く遊べたかもしれない。それでもルーシーを同じように遊ばせることはしないだろう。何かが起こった時、飼い主として対処できないのではないかと、自分自身を信用していないからだ。
 自分のことをタナに上げて、他の人を批判するのは良くないと思う。だから私の考えが正しいのか間違っているのか、ご意見をいただけたらありがたい。