犬の家来

 昨年末くらいから、ルーシーは少し従順になってきたような感じがしたけれど、それは気のせいだったようだ。
 1月半ばくらいから、また反抗的な態度をとるようになってきた。金曜日の夕方、公園で久しぶりにガツンと怒ったところ「私は飼い主にイジメられた可哀想なワンコです〜。慰めてください〜」と他のワンちゃんの飼い主さんに泣きついていた。泣きつかれた飼い主さんの多くが、自分を頼ってくれて嬉しいと感じるらしく「ルーシー、あんなことしたらイカンよ」と諭しながら、優しく体を撫でて下さる。しかし、これは我が飼い主の横暴振り(事実無根)を訴えて、自分の所業を反省せず、そればかりか自分のエゴを満足させ、なんとかその場を逃げ切ろうとしているのだ。
文句があるなら、正々堂々とかかって来い!卑怯者!

 ガツンと怒られた後の週末は、こちらに近づいて来ようとしない。
・・・そうか、それも良かろう。
(た)に車を出せと訴える。
ま、私は運転が苦手だもん。平日ならともかく、土日に車は出さないもん。
早く食事をさせろ、歯を磨けと訴える。
なんやねん、オマエは。
夜遅くに鳴いて、クレートから出せと訴える。
何様のツモリじゃ!

 ルーシーは1階のクレートで寝ているが、このところ夜中に起きて排泄させろと訴えることが多くなった。それも(た)が夜遅く帰宅した時に合わせてである。クレートから出すと排泄するので、排泄したいという欲求はまんざらウソではなさそうだが、その量を見る限り、朝までガマンできそうな気がする。排泄を言い訳にクレートから出してもらっているのは、どうも(た)に可愛がってもらいたい一心らしい。
 A先生に相談すると、先生のパートナーである青空ちゃんは、No.1が一日2回だという。No.2ならともかく、No.1が一日2回だけなんて大丈夫なの?「その代わり、一回がすごく長いですけどね(笑)」ルーシーなんか、一回の散歩中でも、マーキングみたいに少量のNo.1を何回もするのに。青空ちゃんは、セラピードッグとしても活動しているから、自由にどこでも排泄できない。毎日の生活リズムに体のリズムを合わせているのかも。
 先生いわく「ルーシーが鳴いても。クレートから出さない方が良いでしょう。やっぱり鳴いたら出してもらえると学習してしまいますから」。やっぱりね〜。では、マーキングみたいなNo.1をするから、反抗的な性格が直らないんでしょうか?それとも反抗的な性格だから、マーキングみたいなNo.1をするんでしょうか?こんな排泄は、こちらがコントロールした方が良いんでしょうか?「マーキングみたいなNo.1と反抗的な態度の関係は、ちょっと分からないです。でもコントロールしてみてはどうでしょう?」クレートから出さないのはできるけど、コントロールはできるかなぁ。
 という訳で、その日の夜も(あ)は知らん顔で寝ていた。ところが、ワガママなルーシーにつきあうヤツがいた。(た)である。
 ルーシーが夜中に騒ぐようになったのも、(た)がルーシーをクレートから出したからじゃないのか?私は布団に入ったら朝まで白河夜船だもん。鳴かれたって気がつかないもん。前にも同じ事があったのに、なんで人間のアンタが学習しないかなぁ。犬に家来扱いされて、どうすんだよ。マーキングみたいなNo.1をコントロールするかどうか以前の問題である。
 「だって、こっちも寝ぼけてて」とは本人の弁。冬はまだマシだけど、夏だったらご近所に大迷惑だよ。今のうちになんとかしないと。
 犬は、基本的に、人間の女性よりも男性の方が順位が上だと考えるようだ。だから、特にシツケをしなくてもダンナさんには従うけれど、奥さんに従わないワンちゃんが多いと聞く。奥さんは犬と一緒にいる時間が一番多いから、指示に従わない犬に手を焼く。従って、シツケ教室に通う人は圧倒的に女性が多くなる。
 我が家の場合、厳しいのは(あ)、甘やかすのは(た)である。おまけに(た)は自分から犬の家来役を引き受けている。家の中がこんなんだから、ルーシーは図に乗る一方なのだと思う。
 オマケに「ボクはルーシーには満足している」だって!アンタ、犬の家来にされて平気なの?

 この態度↓は一体なんなんだ?

「苦しゅうない、近う寄れ」        「撫でてたもれ」

「そっちの手はどうした?」        「よく働け」