デートのはずが

 なんとなく春が来たかなと感じた朝。そういやフラッシュ君のママさんが「今週は比較的時間がある」と仰っていたっけ。デートのお誘いをしてみよう。フラッシュの走るところも見たいしね。すると電話に出られたのはママさんではなく、お兄ちゃん。ママさんは、今日はお仕事らしい。アレ?スケジュールを聞き間違えたか?
 こういう時って困るわぁ(照)。
 ルーシーは、お兄ちゃんにも可愛がっていただいている。公園で出会っても、嫌な顔ひとつせずに(あ)の話相手もしてくださる。だけど待ち合わせをして散歩ってのは、どうよ?
 普段お兄ちゃんとは散歩をご一緒させていただいている訳だから、ママさんでなくても良い訳だ。お兄ちゃんがイヤだと思えば、あっちから断れば良いことだし。相手は立派な成人だし社会人だし、こっちが誘っても法律違反ではない。だけど、妙齢の独身男性をデートに誘うことになっちゃうんじゃないの?もしかして!!傍から見たら「すんごい年の差カップル」?オバサンの自問自答は続く・・・。
 訊けば、3時頃には所用も終わるとのこと。なんとなく申し訳ない気分になり「せっかくのお休みだから、他に用があったら、そっちを優先させてくださいね」と言ってはみたが、お兄ちゃんはヒジョ〜に素直な方なのだ。
 (屈託のない明るい声で即答)「行きます」へ〜、オバサンが相手でもイヤじゃないんだ。イヤ、逆に気を遣わせたかな?
 家事を済ませて、そろそろ用意をしようかと思っていたら、仕事の電話が入る。それも仕事の内容をメールで送る、送ると言いながら、20分も待たされた。
 ピンチヒッターとはいえ、こっちが誘った訳だから、相手を待たせる訳にはいかない。イライラしながら車を飛ばす。ところが、こういう時って出会う信号はすべて赤。周囲の車はノロノロ運転。ギト目で前方を睨みつけると、警察がスピード違反の取締中。出がけに雨がポツポツ降っていたのが、もはやザザ降り。ヒ〜!!お兄ちゃん、ぬれねずみかも。
 かくして約20分遅れで、待ち合わせ場所に到着。当然、お兄ちゃんの姿はない。それでも所用が遅れて、あっちの到着が遅れている可能性がある。しばらくルーシーを相手にフリスビーで遊ぶ。こういう時、携帯電話がないのって不便だな。でも、全面的に私が悪いんだからね。
 風も強いし、だんだん投げやりな気分になって、フリスビーはあらぬ方向へ。ルーシーは「新しい遊び?」とばかりに嬉しそうに走り回っていた。それでも雨が再び激しくなってきたので撤収。
 帰宅後、冷や汗をかきながらフラッシュ家に電話。平謝りで謝る。
 よく考えたら20歳も年下の男性とデートできるなんて、この年になったら、そんなチャンスはないのだ。あぁ、それなのに〜!