素敵な出会い

 天気が良くて、人間にもワンコにも気持ちの良い季節は、本当に短い。貧乏性なのだろうが、ちょっと遠回りして、いつもと違う道を通る。
 この季節、歩道やいろんなお宅にカラフルな花が咲いている。(あ)はガーデニングが全くダメである。根気がないからだ(キッパリ)。それでも花を見るのは好きだ。良いとこ取りをさせてもらう。ちなみにルーシーは、雑草しか見ていないけど。

 高校近くの銀杏並木には新しい葉が出てきて、藤棚には紫の花が咲いている。木蓮は白い花は散ってしまったが、紫の花が咲いている。雨で洗われたせいか、緑がきれいだ。気持ちいいねぇ。
 テクテク歩いていると、緑で覆われた一軒屋に出会う。色とりどりの花に目を奪われていると、この家の奥さんが現れて、声を掛けて下さった。ルーシーが突然警戒して低く唸ったので、注意をして見ると、奥さんの足元に一匹のジャーマン・シェパード。ラティスの色と同化していたのと、おとなしいので目の前にワンコいるとは、全く気が付かなかった。
 庭に所狭しと植物が植えられている環境なのに、ワンちゃんはイタズラをしないんだろうか?ルーシーなら、葉っぱを全て食べてしまうかもしれない。

 「ウチのは、もう7歳ですからねぇ。でも小さい頃から、私が庭仕事をしていると『これは大事なモノだ』と分かっていたからか、イタズラはしませんでしたけどね。」
 賢〜い!!ルーシーなら、お母さんが大事にしているから、逆に触ってやれ、囓ってやれになると思うけど。お名前は?
 「カルロスです。長いからカルちゃんって呼んでます。」
 ス、スペイン系ですか?
 「実は、ウチにシェパードが2匹来ましてね。、たまたま某車メーカーの社長の名字と名前が良いんじゃないかということで・・・」
 アレ?じゃ、ゴーンちゃんは?
 「ゴーンは、いなくなりました。」
 ごめんなさい。辛いことを訊いてしまいました。
 「いえいえ、実は、この子達はフ○ーツフラワーパークの近所の出身なんですが、ゴーンちゃんは、何回連れ戻しても、そっちへ行っちゃうんですよ(脱走するらしい)。今では嫁さんと子供も、そっちにいるらしくて・・・」
 ・・・こっちが別宅になっちゃったってことですか?カルちゃん、寂しいねぇ。
 「そうなのよ〜(笑)。」

 奥さんは、とてもフレンドリーな方で「暑いときは寄ってくれたら、お水をあげますよ。」「来月にはバラが咲くから、また見にいらっしゃい」と仰って下さった。玄関先に綺麗な白い花が咲いていたので、何かと訊いてみたら、わざわざ枝を手折って下さった。「もう咲き終わりだからねぇ。香りがするかしら?」
 とても甘い香りがする。ルーシーも鼻をヒクヒク。白いボンボリのような花は、チョウジガマスミというそうだ。