大どんでん返し2

 まさかの入賞で一番驚いたのは(あ)である。表彰式では参加者全員がステージに並ぶように言われたので一応並んでいたけれど、司会者に自分たちの名前が呼ばれるとは全く思っていなかった。(あ)は、カゼのため鼻が詰まって耳がおかしかった。おまけに式の間はステージの後ろの方にいて、ルーシーのヨダレを拭いていたので、他の人たちに「ルーシー!」と呼ばれて「エ?本当にワシらですか?」と、おずおず出て行ったというワケ。
 20組以上が参加している中で(あ)が見学できたのは、およそ半分くらいなものだが、やはり入賞常連組は強い。ステージに入る時点で、ワンちゃんが「ママ、やるのね」と集中している。技の流れもツナギも上手いし、スピードもある。1位と2位は同率首位で、この二組のペアとワシらは雲泥の差である。

 技のレベルを比べるのは難しい。以前にも書いたが、犬種によって得意な技は違うからだ。大型犬は静止技が得意だし、小型犬は後ろ足で立つ技が得意だ。大型犬は後ろ足で立って移動するのはキツイし、小型犬に素早くウィーブをさせるのは難しい。しかし、この二組は、技の内容がバランスが取れていたのと、レベルのバラツキが少なかった。一言で言えば、手堅いのだ。また、黒いコッカーのナッツちゃんの場合、ほとんどハンドシグナルを使っていなかった。トイプーのモコ治君は、ステージにいる間、集中力が切れることがなかった。
 ルーク君は、途中「カイカイ」をしてしまったが、それ以外に大きなミスは見あたらなかった。ルーシーと違って、プログラム中に動作が満載されているので、元より遊びの部分は少ない。静止技もクロスやフェイス等、レベルが高い。
 スタンプーのドリスちゃんは、座っているだけで様になる。それが一気にジャンプしたり、ステップを踏むのは圧巻だ。衣装もおそろいでカッコイイ〜!!


 ボーダーのアンディ君は、難しい曲に挑戦していた。3つの部分に分かれていて、それぞれリズムが違うのだ。そして技が大きくて、非常にスピーディーだ。ラージサークルも大きく、ジャンプも高い!!
 小型犬のプログラムでも、ウィーブやバックウィーブは当然のように入っていた。ハンドラーがハンドシグナルを出したとしても、体高の低い犬には見えないことが多い。だから小型犬に対しては、ハンドラーは腰を曲げて指示を出さなければならない。これはなかなか大変なことである。

 考えてみると、ルーシーと(あ)よりも随分と上手い組はたくさんいたように思う。ホントに私らが3位で良いのか?何かの間違いじゃないのか?後で先生に「なんで?」と訊いたら「一体感でしょう」だって。ホンマかいな?
 こんな私らのために、先生は嬉し涙を流してくれた。それだけでも、感謝しなくちゃいけないな。