アニメの影響

 散歩の帰り道で、隣町のショッピング・モールに立ち寄る。ここには、ルーシーがお世話になっていたペットショップがある。当時の店員さんは、異動等で全員がいなくなってしまったものの、今の店員さんも可愛がって下さる方が多い。ルーシーは駐車場に入る道から、いつにも増して大騒ぎ。車から出されると、首が絞まろうが、おかまいなしにグイグイとリードを引っ張って、店に突撃する。
 夏休みとあって、昼前の駐車場は非常に混み合っていた。ただでさえ暑いのに、子供達は、お母さんの両腕にぶら下がり、建物の中へ引きずられて行った。すれ違いざまに、ある子供がルーシーを見つけて
 「あ、見て、見て!ワンちゃんだ。」ハイハイ、ワンコでございます。
 「可愛い〜!!」ま、よくあるコメントだね。
 「スカンクみたい」・・・これは、新しくないかい?
 以前、ルーシーと散歩をしていたら、幼稚園児がこっちを指さして「あ、モウモウだ!!」と言ったことがある。ワンワンよりも先に、モウモウという言葉が子供の口から出たのは、「やっぱり三○牛の産地だからかしら?」と思ったものだ。今度はスカンクかい?
 意地悪なワンコに追いつめられたスカンクが、逆立ちしてオシリから「プー!」とガスを出し、敵を撃退するのは、アニメでおなじみのシーンである。実際に逆立ちするかどうかは分からないけど。ユーモラスで、ちょっと臆病な動物。スカンクに対して好意的な見方をしている人が多い気がする。日本にはスカンクが棲息していないから、日本人のスカンクに対するイメージは、ディズニー映画(確か「バンビ」だったと記憶しているが、違うかも)の影響かもしれない。
 昔、職場の同僚だったカナダ人と話していて、スカンクに対するイメージが大幅に違うことに気が付いた。彼がスカンクについて話す態度は、明らかに嫌そうだった。日本人がゴキブリやネズミの話をする態度に似ていたのだ。カナダはスカンクの生息地なのだが、農作物を荒らす害獣であり、彼の父親も夏は「スカンク狩り」で忙しいという。 畑にやって来るスカンクを銃で撃つそうで、いまわの際にスカンクは例のニオイを大量に発するらしい。これが、とんでもないニオイで、衣服や髪の毛に染み付き、洗っても取れないのだという。残酷だけど、スカンクによる被害は甚大だそうで、農家にとっては死活問題だという。ディズニー映画の可愛いスカンクのイメージしかなかった(あ)には、かなりショックだった。「私が住んでるとこでは、畑や田んぼの四方に電線を張って、イノシシ撃退用に弱電流を流しているけど、そういうやり方じゃダメなの?」と訊くと「カナダの畑は広いし、銃で撃った方が早いから」と、あっさり言われてしまった。
 また日本では、アライグマが愛らしい動物だと思っている人が多いと聞いたことがある。実際は非常に気性が荒く(特に発情期には)歯や爪が鋭いため、飼い主でも大けがを負うことが多いのだという。そういやアライグマのアニメがあったっけ。アニメの影響って、予想以上に大きいんだろうな。
 ところで、私はポニョじゃないからね。そこんとこ、よろしく!!