ストレスの源

 ルーシーは、足の調子も順調に良くなっているようで、リハビリを始めている。今は、30分程度の歩きだけの散歩だが、今後は少しずつ時間を延ばしていくつもり。療養中は、ルーシーのストレス行動は、予想より少なかった。暑さで動きたくないのと、お父さんが車で出かけないかと昼寝をしないで玄関先で見張っているため、一日中眠いから、らしい。
 N先生曰く、犬にとって、足や股関節に負担をかけない姿勢とは、四つ足でしっかり立っている状態なのだそうだ。だからリハビリ中は、ダンスであっても、ジャンプはもとより、後ろ足だけで立つ等は厳禁だ。ところが、昨日は(た)の実家に行ったところ、玄関先につながれたルーシーは、隙あらば、上がり框に前足をかけ、立ち上がって家の中を覗き込んでいた。我が家と違って、玄関から居室までの距離が短いから、人の声がすると非常に気になるらしい。ここの家の人たちは、それでなくても声が大きいし。
 放っておいたら、あきらめて寝るだろうに、義母が頻繁に玄関先に出て、中途半端にルーシーに声をかけ、ちょっかいを出す。本人はかまってもらえるのかとソワソワ。知らない家に来て、人の姿を見たり、人の声を聞いたりしたら、ルーシーだって気になるはず。粗相をしたり、治りかけの足を痛めたりしては困るので(あ)はドアを閉めて回る。
 「放っておいたら寝ますので」と言ってみるも、義母には通じない。
 「暑いから」「寂しいだろうから」と、せっかく閉めたドアを開けに行く。


 1.「ヨーグルトやろか」
2.「さっき飲ませたら、ガブガブ飲んでいた」
3.「ヨーグルトを入れたら、ガブガブ飲むクセに、入れなかったら見向きもしない」


 こちらが知らん顔をしていると、聞こえていないのかと、さらに大きな声で同じ事を繰り返すから、いちいち返事しないといけない。大きな声を出されたら、落ち着いたルーシーがまた騒ぎ出す。


 4.「ありがとうございます。でもカロリー制限してるので」
5.「犬ですから」
6.「ニオイで分かるみたいです」


 話題が変わってしばらくすると、また1.に戻る。そして、意味もなくルーシーのところへ様子を見に行き、声をかける。せっかく静かになって寝てるのに、なぜ叩き起こすかなぁ。・・・ガックシ。
 だから、私は(た)の実家にルーシーを連れて行くのがイヤなのだ。犬を飼った経験のある人なら、飼い主に4〜6みたいなことを言われたら「あ、そ」と引き下がってくれるのだろうけど。本人は犬を飼ったことがないし、あくまで親切心で言っているのだが、往々にして的はずれなのだ。
 ちなみに(あ)の実家では、ルーシーは家に入れてもらえない。その代わり、ちょっかいも出されないから、かえって飼い主の判断だけでケアできる。その点、こちらは気が楽なんだけど。
 しばらくして外に出してもらったルーシーは、(あ)が背後に立ち、ギト目で睨んでいるのにもかかわらず、皆さんに飛びつきまくっていた。運動制限を受けて、知り合いの飼い主さんやワンちゃんに会うことも少ないし、この家に来るのも年に2回ほどのことだから、しょうがないか。
 それにしても・・・こちらがストレス行動に出そうになったよ。