ピー太とルー吉〜おっ母さんのもの

 ピー太は、相変わらず働き者で、円盤追いと障害物競走に精を出しておった。一方、グータラなルー吉は、気分に任せて球拾いをしたり、意味もなく走ってみたり。なかなか真剣に働こうという気にならぬ怠け者じゃった。

 ルー吉が、チンタラ球拾いをしていたら、ピー太が通りかかった。親切なピー太は「ルー吉、オマエのやり方はダメじゃ。ワシが見本を見せちゃる」と申し出た。ところがルー吉の意地悪なおっ母さんは、球を隠してしまった。しかたなく、ピー太は自分のおっ母さんの円盤を出してもらった。

「ルー吉、こうやって円盤を取るんじゃ。分かったか?」
 ところがルー吉には、ピー太しか目に入らなんだ。円盤を追いかけるより、ピー太を追いかけた方が面白い。時々ピー太に近寄って「ガゥゥ」と奇声を上げると、まるで自分が偉くなった気がする。

 「なんじゃ、オマエは。せっかく教えてやってるのに、ワシばかり追いかけおって。ワシはもう知らん!!」
 ピー太は、少し腹を立て、円盤を囓って見せた。
 その一方で、ピー太はルー吉の球のことを思い出していた。「円盤なら、いつでも手に入る。家の外でしか触れない物があるはずじゃ」「家の外でしか触れない物はないかのぅ。えぇい、イジワル婆の袋を探ってしまえ。」
 ピー太は、ルー吉のおっ母さんの袋に頭を突っ込んだが、イジワル婆は球を別の場所に隠してしまっていた。ピー太は、虎印のついた鼻紙入れを取り出し、口にくわえて得意げに走って見せた。
 ルー吉は「アレは、ワシの鼻紙入れじゃが、ピー太はあんな物が好きなんかのぅ?」と驚いたが、それでも得意げなピー太を見ると、自分も嬉しくなった。ピー太は、働き者が過ぎて、要らぬ仕事まで見つけてしまう。そしてルーシーは、優しいピー太に甘えて、追いかけるのじゃった。

 いつまでたっても、ルー吉はピー太を追いかけてばかりで、全く円盤追いは上手くならなかったそうじゃ。チャンチャン。

***おまけ***

クッ吉「ぴ、ぴ、ピー太、何かご用?」
ピー太「クッ吉、それは一体何ですかぃ?」
クッ吉「アッシはよく知りやせん。」
ピー太「新しい仕事の物ですかぃ?」
ピー太「クッ吉のおっ母さん、その新しい物を見せてくだせぇ。」