スタートライン

 先日のディスク大会で、フラッシュ君のオーバーランを見て、(た)は「フラッシュは、コートでフリスビーをしたことがないんだから、エリアの外に出たらいけないなんて、分かるはずがないんだ」と言った。
 そういや、そうだ。だから、ディスクをくわえて「獲ったど〜!」と、ルーシーに見せびらかしにきたって、全然おかしいことじゃない。フラッシュにしたら、今日に限って、なんで(あ)に追い返されるのか理解できなかったに違いない。こっちは大笑いさせてもらったけどね。
 ルーシーも、ルイルイで乱入事件や小麦粉バクバク事件をやらかしてきた。とてもルールに則って、スポーツができるとは思わなかったから、ディスク大会の出場は、ようやく今回で2回目。特に教えていないけれど、本人の中に「コートを出たらアカン」という結界を意識するようになった気がする。周囲のディスクなワンちゃん達を見て理解したのかもしれない。
 そう考えると、とっても成長した気がする。単に、初めのレベルが低すぎたせいだけど。
 それはさておき、(あ)はルーシーの悪癖をひとつずつ潰そうと画策している。
 一番困るのは、足を拭かれる時の唸り癖。大好きな人に対する飛びつき癖。
 これまで、唸らなかったら、ご褒美をあげる練習を何回か繰り返したし、また唸ったら罰を与える(玄関の壁に向かって、サンダルを投げて音を立てる)練習もしてきたが、唸り癖は依然なくならない。それでも、少しずつだけれど時間が短くなってきた。
 本人も「唸ってはいけない」と分かっている。それでも鼻面には皺が寄ってしまう。怒られないように、こちらの脇腹に頭をつけて、顔を隠して唸っている(笑)。「アンタ、唸ってるやろ。そんなとこに隠れても、分かるっちゅーねん」と、体を引き離そうとすると、必死になって脇腹に頭をくっつけてくる。唸るのは相手への威嚇のはずだが、相手の見えないところで唸って、何か意味があるんだろうか?
 もうひとつは「飛びつき癖」。昨日は、大好きなサンタちゃんとママさんが近づいてきたのが見えたので、あらかじめ「行かないよ〜」と注意する。ルーシーは鼻を鳴らしながら、それでもガマンしていた。あちらが側に来られた時点で、ルーシーがお尻をムズムズっと動かした。飛びつこうと考えたであろう、その瞬間に「ルーシー、飛ばない」と注意。サンタちゃんのママさんも手で、ルーシーを遮るジェスチャー
 すると、ルーシーは文句を言いながらガマンした。やれば、できるじゃん!大いに褒める。
 ところがガマンすると、ストレスが貯まるらしい。突然「ワンワワン」と言いながら走り出し、最後には自分の尻尾を捕まえようとしてスッテンコロリ。ルーシーの場合は、他のワンちゃんのように黙ってガマンできない。何かをしたい気持ちを抑えるには、他の欲求に転化させて発散させないとダメのようだ。飛びつかずに走り回ったのは、ルーシーなりの工夫ってことだろうか?あくまで、ややこしいヤツだ。
 大会では1歳に満たないワンちゃん達が、常連のワンちゃんに混じって堂々としていた。ルーシーは3歳半になって、ようやく、みんなと同じスタートラインに立てたということなんだろう。ま、いいさ、ボチボチで。
 

 S田谷公園の紅葉ももうすぐ終わり。毎年葉っぱを頭に乗せて、ルーシーに「上手く化けろ」と言っている。