プレイズ・タッチの授業デモ

 りぶ・らぶでお世話になったAさん(A先生の先輩ではなく元同僚だそうだ。失礼しました)が、授業のデモをして下さった。内容は「プレイズ・タッチ(Praise Touch)」の初歩である。
 プレイズ・タッチとは、テリントン・タッチを簡略化したものだそうで、いくつかのルーティンがある。マッサージが主に医療やリハビリを目的とした手法であるのに対して、これらは、「お互いを感じる手段であり、心と心を通い合わす方法」なのだそうだ。ルーシーとは、どうも上手くコミュニケーションがとれていないみたいだから、うってつけの内容かも。
 ペットショップ出身の犬は、早期に隔離生活を始めるから、ソーシャル・グルーミングが不足しているという。ソーシャル・グルーミングとは、母親や兄弟とのふれあいであり、人間とのふれあい。これが不足すると、精神的に安定しない子が増えるという。
また、犬の健康状態を日々チェックする上でも、プレイズ・タッチは有効なのだそうだ。ただし無理強いはしないし、人間のマッサージのようにツボに力を入れない。何かをしながら犬の体を触るのではなく、自分もリラックスして、犬だけに集中して、手の温かみを伝えるように、気持ちを伝えるようにしなければならないという。
 デモでは「大好き」のルーティンを教えてもらった。

1)全身のストローク
頭から尾の先、肩から前足の爪先、肩から後ろ足の爪先、頭から尾の先を撫でる。手を柔らかく、指先を使っ
て指は開かずにスッと撫でる。爪先や尾の先を撫でる時は、そこで手を止めるのではなく、地面の下や尾の先の向こう側にまで犬の体が続いているかのように動かす。全身のストロークは、ルーティンの最初と最後に行う。例えば、ルーティン中に来客等で途中で終了する場合には、全身のストロークをした上で終わらせる。

ルーシーは、背中やお尻あたりまでを撫でられている間、目をショボショボさせていたが、尾や爪先に手がかかると「ん?」と反応する。嫌がってはいないものの、完全にリラックスしていないみたいだ。

2)首回りのスクィーズ(小型犬4〜6回、中・大型犬6〜8回)
親指と他の四本の指でカニのハサミのようにして、首回りの皮膚を大きく掴んで、力は加えずに、ゆっくり持ち上げる。少しそのままで持ち、手を離さずにゆっくりと戻す。戻したら、その場所を小さな円を描くように撫でる。特に耳の後ろ側は気持ちが良いスポットらしい。

ルーシーは、こちらに背中を向けていたので、どんな表情なのかは直接見えないが、Aさん曰く目を閉じてウットリしていたらしい。そのうち、お尻をグイグイとこちらに寄せてきた。どうやら「もっと」と催促していたようだ。

3)首回りのサークルタッチ(小型犬4〜6回、中・大型犬6〜8回)
指全体で時計回りに円を一周描く。

ルーシーは「ん?」という表情。次の瞬間、ニカッと笑う

4)耳のストローク(耳全体を網羅)
親指と他の4本の指で犬の耳を挟むようにする。この時、耳の上側に親指が来るように。耳の付け根から先端に向けて、優しく撫でる。

もしかしたら、ルーシーはこれが苦手かも。嫌がる素振りは見せないが、こちらが触った後に、必ず自分で耳をピクピクと動かす。ボーダーコリーは、耳で感情を表すことが多いそうだから、自分でも大切にしているのかもしれない。リラックスしているとはいえないなぁ。
5)首から尻尾の付け根のエフルラージュ(1回)
掌全体を犬の体に密着させ、首から尻尾の付け根に向かって手を滑らせる。尻尾の付け根まで来たら、仙骨に利き手を残して6)へ。

6)尻尾の付け根のサークルタッチ(時計回り3回、反時計回り12回)
5から連続する動作。手を自然にカーブさせ、四本の指の腹で円を描く。反時計回り12回が終わったら、手を離さずに7)に進む。

7)Wのタッチ(右半身・左半身、各2往復)
6から連続する動作。指先を後ろ足の爪先へ、そして斜め上に背中の真中辺りを目指して指を閉じながら撫で上げる。次に指を開きながら、斜め下にお腹へ向かって撫で下ろす。今度は指を閉じながらお腹を軽くリフトするように肩まで撫で上げる。これを2往復繰り返す。

ルーシーは6)と7)で「何してるの?」と背後をうかがった。こちらはレジュメを見ながらだから、ルーシーから目を離しがち。

8)全身のストローク 1を繰り返して終了。

普段の生活では、撫でてやるにしても同じところを同じ方法で触りがちだ。ルーシーは、体を触られるのを嫌がることはなかったが、慣れていなくて「ん?何するの?」と、こちらをうかがうことしばしば。実際に「嬉しい」「気持ちいい」という顔をしたのは、期待したより少なかったけれど、周囲にワンちゃんがいる状況でリラックスすることは少ないから、しかたがないか。5〜7までは連続しているから、人間がまず手の動きを覚えないとダメ。反時計回りをしている間に、ルーシーが動いてしまい、何回やったか忘れてしまう。そうすると、こちらのリラックス状態も崩れて元の木阿弥。これは、シャド練が必要だ。

******閑話休題********:O
この日に集まったワンコの生徒は、スペースの関係で3匹のみ。うち2匹がボーダーで、ルーシーと青空ちゃんだった。ルーシーはA先生のところへ、青空ちゃんは(あ)のところへ行こうと、ルーティン中は、ず〜〜っとガン見。おまけにAさんのパートナーであるハミルちゃんは、A先生のところへ行きたいから、そちらをガン見。人間はそれぞれ他のワンコにガン見されているのを感じながら、目を合わせないようにして授業(爆)。うっかり目を合わせたらピーピーが始まり、授業どころではない。ルーシーなぞは、隙あらば先生のところへ行こうとするので、カラーとリードを装着して授業を受けた。アンタ達、本当にリラックスできたの?これって本末転倒じゃないかね?

結局、ワンコもリラックスして全く動かず、人間もきちんとルーティンをできたのは、トイプーのナナちゃんとママさんのみでした(爆)。