ボーダーコリーの幸せ

 (た)が買ってくれたボーダーコリー・ファンを読んだ。お友達のワンちゃんが載っている記事を見るのは楽しかった。今回の号は家族も一緒に写っている写真が多かったから楽しかった。それに加えて、特集記事でも「そうだよなぁ」と思うことが多々あった。

 中でも飼い主として考えさせられたのは「ボーダーコリー1号犬物語」で、高名な訓練士が「今でもはっきりと覚えている。すごいイヌだった」と評したワンちゃんの話である。そんなすごいボーダーコリーを飼っていたのなら、今でも飼っているのではないかと思ったら、今ではもうワンちゃんを飼っておられないらしい。
 飼い主さんの女性は、1号犬の血筋をつないでいたが、ご自身に子供が生まれ、犬達と遊ぶ時間がままならなくなってしまった。ひとり遊びをする子孫のボーダーを見て、その飼い主さんは「ボーダーはとことんつきあってあげるべき犬種なのだということを痛切に感じた」そうだ。それで、そのワンちゃんを最後にボーダーコリーを飼わなくなったそうだ。
 また、多頭飼いをされている方が、インタビューで「ボーダーは誰でも飼えるという犬種ではないと思います。賢いイヌだから何でもできると思いこんでしまったら失敗してしまうかも。もともと自分で考えるタイプのイヌです。こちらがちゃんとコントロールできるようにしつけをしてこそ、彼らの持ち味を引き出せてあげられると思うのですが、それには一緒に遊ぶことを通じてしつけるのが良いのではないでしょうか。(後略)」と意見を述べられていた。
 そうだなぁ。全くそうだなぁ。

 実際ルーシーを飼ってみて、こんなに手がかかると思わなかった。ルーシーという個体の性格面の問題もあるけれど、「もっと別の飼い主さんだったら、もっとルーシーを幸せにできたかもしれないな」と思うことは多い。
 たとえば−すごくベーシックなことだけど−家族の人数が多いとか、多頭飼いだとか、車ででかけるのが苦にならないとか、体力・気力があるとか。
 自分では、できる限り時間をかけて接しているつもりでいるけど、それでも「ルーシーが幸せか?」と言われると自信がない。(元より、ゴーマンで欲張りな性格だし)人間より短い生涯だからこそ、笑顔の瞬間を増やしてやりたいと思う一方で、自分にはいろんな制約があって、今の状態がギリギリで、これ以上のことはしてあげられない気がする。もっと幸せにしてやりたいのに。
 そんな事を考えながら山道を散歩していたら、ポメを連れた高齢の飼い主さんに出会った。知らないワンちゃんだったので、ルーシーに「言わないよ」と注意して近づいたら、すれ違う時に飼い主さんに「愛されてるね〜」と言われた。
 何を見て仰ったのかは分からないけれど、肩をポンと叩かれたような気がする。ちょっと涙が出た。 

 「お父さん、まだかな〜?お母さんだけじゃ、つまんないよ〜」