苦手の種類

 土曜日はシツケ教室。前の授業は柴犬のパピー(3ヶ月)を迎えたファミリー。3人の子供達はルーシー・サイズの犬を見るのは初めてらしい。しゃがんだまま、ほとんど瞬きもせずに、ひたすらジ〜ッと見つめていた(笑)。ま、君たちのワンコに比べたら、デカイことは確かだもんね。
 一定距離を置いて自分に近づくでもなく、自分を呼ぶでもない。そんな子供達にふれることは少ない。ご近所の子供達は近づくか、知らん顔で去っていくかのどちらかだ。ルーシーも気になったらしく、時折「なぁに?」と子供達に視線を送るが、その度にとりあえず呼び戻し、通常以上にアテンションをとって褒める。
 先生が「ルーシーはオスワリなんか朝飯前や。完璧にできるよ」と子供達に話す。無意識に「とんでもない!」と口を突いて出た。確かにオスワリやフセなどは基本中の基本だけど、どんな状況でも完璧にできる訳じゃない。完璧はありえないのだ。自分の犬を知れば知るほど、そのことが良く分かる。自分で自分の言葉に驚きながら、犬と一緒に成長するって、そういう事なんだなと思った。
初めて音楽に合わせて一曲を通して踊った。・・・メタメタだ。こんなので仕上げられるのか?コマンドを出すので精一杯で余裕がないから、褒めるタイミングがつかめない。
 苦手な技は苦手のまま。そして苦手にも、いくつかタイプがあることが分かった。
 ひとつは、苦手のあまり早く切り上げたいもの。クリープを8カウントX2。「クリープ」のコマンドに対する反応が鈍いので、出だしが上手くいったら「グッド!」と褒めた。しかし、今度は直ぐに立ち上がってしまう。ルーシーは「グッド(ヨシ)」を「OK(終了)」と自分に都合良く受け取ってしまう癖がある。そこで、今度は「そう、そう、良いよ〜(君のやっていることは正しい。続けなさい)」と褒めてみた。それでもやっぱり立ち上がってしまう。しかたがないので「まだよ〜まだよ〜、まだまだよ〜」と声をかける(苦笑)。なんとか授業中に16カウントをクリープできるようになったけど、こりゃ要注意だな。ルーシーの気分次第だからなぁ。
 二つ目は、苦手のあまり無意識に止めてしまうもの。「ぞうきん」。バウの姿勢を保ちつつ後ろに下がらせるのだが、本人も気が付かないうちに上体が上がってしまう。ルーシーのオリジナル技だったのに、今ではトレーナーさんも採り入れている。彼らのワンちゃんは、当然のことながらルーシーより随分と上手い。(大体、ルーシーごときの技を採り入れるってのが解せないけど)
 三つ目は、頑張ってもできないもの。練習は続けているけれど、ベッグの姿勢を保つのは苦手。(あ)がルーシーの頭上にフードを見せながらベッグをさせ、「キープ」とコマンドを出して周囲を回る。自分ではルーシーにフードを充分見せていると思っているのだが、ルーシーは(あ)の手に従ってジリジリと動こうとする。そして、後ろ半身がグラグラして姿勢が保てない。(あ)が回りきる前に落ちてしまう。落ちそうになる前に声をかけるのだが、一旦崩れた姿勢を持ち直すのは無理だ。思わず手を下げた。必死なルーシーは、こちらの手に顎をひっかけてスッポン・ベッグ。苦肉の策らしい(爆)。
苦手な技を強化するのは難しい。ルーシーにとって特定の技が苦手だと気づいてから動機付けをしても、ルーシーにはすでに苦手意識が植え付けられてしまっている。苦手意識を覆すには、それを克服するだけの練習をしないといけない。ところが、本人は苦手だから、なかなか積極的にやろうとしない。Catch22である。
 少しでも苦手を克服できたらいいなぁ。頑張ろうな、ルーシー!